五ノ神まいまいず井戸

五ノ神まいまいず井戸

東京都羽村市、JR青梅線・羽村駅近くの五ノ神社境内にあるのが、五ノ神まいまいず井戸。水事情の悪い武蔵野台地で、深く掘って凹地をつくり、そこに井戸を築いたのが「まいまいず井戸」。まいまいとは、カタツムリのことで、井戸に下る道が螺旋(らせん)状なのが名の由来です。

江戸時代には、熊野権現社境内から「熊野井戸」と呼称

直径16m、深さ4.3mのすり鉢状の窪地で、井戸の深さは5.9mあることから、地表から水面までは10m近いことがわかります。
生活用水を確保するためには、関東ローム層を掘り下げ、砂礫層まで達する井戸を掘る必要があったのです。
井戸に向かっての下り道は螺旋を2周し、全長はなんと40m。
水汲みの苦労がしのばれる螺旋状の道です。

五ノ神まいまいず井戸では、江戸時代の井戸浚(いどさらい=江戸周辺では旧暦の7月7日頃、年に一度の井戸の清掃が行なわれていました)の際、鎌倉時代から室町時代の板碑が出土したといわれていることから、中世からの歴史ある井戸だと推測でき、東京都の史跡になっています。

地元の伝説では大同年間(806年〜810年)に創始されたと伝えられますが、鎌倉時代の創建である可能性が大(一帯には鋳物師が暮らしていました)。
元文6年(1741年)、五ノ神社の氏子の協力で井戸普請(いどぶしん)が行なわれた記録があり、なんどか修復されていることがわかります。
まいまいず井戸は、あくまで通称で、その昔は、その形状から螺井(まいまいど)、漏斗状井戸(ろうとじょういど)、降り井などとも呼ばれていました。
井戸普請の普請帳からは、「熊野井戸」と呼ばれていたことがわかり、五ノ神神社は、もともと熊野権現を勧請して創建した神社との関係性がわかります。
昭和35年の町営水道の完成まで現役の井戸として使われましたが、上水道の普及で役割を終えています。

まいまいず井戸は、武蔵野台地では、五ノ神まいまいず井戸のほか、あきる野市渕上(渕上の石積井戸)、青梅市新町(大井戸)、埼玉県狭山市北入曽(七曲井)、狭山市堀兼(堀兼の井)が現存、府中市郷土の森博物館に武蔵国府エリアにあった井戸が移築保存されています。
伊豆諸島では新島(原町の井戸)、式根島(まいまいず井戸)、八丈島(メットウ井戸)が残されています。

羽村駅の西側には、羽村取水堰、玉川上水羽村陣屋跡があるので、時間が許せば合わせて見学を。

五ノ神まいまいず井戸
名称 五ノ神まいまいず井戸/ごのかみまいまいずいど
所在地 東京都羽村市五ノ神1-2-1
関連HP 羽村市公式ホームページ
電車・バスで JR羽村駅から徒歩2分
駐車場 周辺の有料駐車場を利用
問い合わせ 羽村市役所教育委員会 TEL:042-558-2561
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。
羽村取水堰

羽村取水堰

東京都羽村市にある多摩川河口から53.9kmに位置する堰が羽村取水堰(はむらしゅすいせき)。玉川上水の取水口で、左岸側(上流から見て)にある全長380mの投渡堰(なげわたしぜき)と、右岸側の固定堰で構成される世界的にも珍しい堰です。現在の堰

玉川上水羽村陣屋跡

玉川上水羽村陣屋跡

東京都羽村市にある玉川上水を管理するために江戸時代に設置された陣屋跡が玉川上水羽村陣屋跡。多摩川から羽村取水堰で取水する玉川上水が承応2年(1653年)に完成し、羽村取水堰(堰と水門)と玉川上水(水路)を管理する水番所として開設されたもの。

府中市郷土の森博物館・まいまいず井戸

府中市郷土の森博物館・まいまいず井戸

東京都府中市、14haの敷地全体で府中の自然、地形、風土の特徴を表現した野外博物館が、府中市郷土の森博物館。「まいまい」はカタツムリの別名で、すり鉢状に掘り下げた凹地の井戸が、まいまいず井戸。平安時代に武蔵国国府に築かれていたまいまいず井戸

原町の井戸

原町の井戸

東京都新島村、本村の前浜近くにある井戸が原町の井戸。正徳5年(1715年)に掘られたという歴史ある井戸で東京都の史跡。式根島や武蔵野にある「まいまいず井戸」(まいまいず=かたつむり)と同様に、地面をすり鉢状に深さ3.3m掘り下げ、地下水を汲

まいまいず井戸

まいまいず井戸

東京都新島村、式根島にある、島の開島時に地面を掘り下げた凹地に井戸を掘り、水不足を改称したのがまいまいず井戸。武蔵野などに多いまいまいず井戸ですが、明治23年から3年の歳月を費やし、20人足らずの島民と、新島からの協力者の尽力で完成した

渕上の石積井戸

渕上の石積井戸

東京都あきる野市渕上、あきる野市開戸センターの敷地内にあるのが、渕上の石積井戸。水事情の悪い武蔵野台地で、掘って凹地をつくり、砂礫層まで届く井戸を掘ったもので、井戸に下る道が、まいまい(カタツムリ)似た螺旋(らせん)状になることから、「まい

堀兼之井

堀兼之井

埼玉県狭山市堀兼、堀兼神社の境内にある歌枕「ほりかねの井」の地とも推測されるのが、堀兼之井。直径7.2m、深さ1.9mの凹地となった井戸の中央に、石組の井桁が組まれており、武蔵野台地に数多い土地をすり鉢状に掘り下げ、井戸に降りる道を螺旋状に

七曲井

七曲井

埼玉県狭山市北入曽、同じ狭山市内の堀兼之井とともに、歌枕「ほりかねの井」の地とも推測されるのが、七曲井(ななまがりのい)。すり鉢の形をした巨大な井戸で、武蔵野台地や伊豆諸島にある「まいまいず井戸」(まいまい=カタツムリで、螺旋状に付けられた

青梅新町の大井戸

青梅新町の大井戸

東京都青梅市新町2丁目、新町御嶽神社の南、大井戸公園にあるのが、東京都の史跡に指定される青梅新町の大井戸。水事情の悪い武蔵野台地で、深く掘って凹地をつくり、そこに井戸を築いた「まいまいず井戸」(まいまい=カタツムリ)の一種で、井戸に下る道が

八重根のメットウ井戸

八重根のメットウ井戸

東京都八丈町大賀郷、八丈島の西側、八重根港近くにあるのが、八重根のメットウ井戸。水に悩まされた伊豆諸島や武蔵野台地に築かれた、「まいまいず井戸」(まいまい=カタツムリ)のひとつで、すり鉢状に掘った底に井戸を築き、螺旋状になった道で水汲みに降

 

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

Twitter でニッポン旅マガジンをフォローしよう!

よく読まれている記事

こちらもどうぞ