大雲取越

大雲取越

和歌山県新宮市にある那智山と熊野本宮を結ぶ熊野古道・中辺路(なかへち)の難所が大雲取越(おおくもとりごえ)。現在の那智大社・那智の滝(那智山熊野権現)から熊野本宮大社(熊野権現)までの険しい山道が、雲取越(くもとりごえ)で、そのうち小口までの山越えが大雲取越です。

那智大社と熊野本宮を結ぶ、熊野古道の難所

大雲取越

熊野詣(熊野三所権現巡り)を終えた旅人たちが再び熊野本宮への帰路に使った道が大雲取越(おおぐもとりごえ)・小雲取越(こぐもとりごえ)。
那智大社・那智の滝側から熊野本宮大社を目指し、大雲取越から先が小雲取越ですが、なかでも大雲取越は熊野古道・中辺路(なかへち)のなかでも、最大の難所といわれる山越えの道でした。

大雲取越への熊野古道のスタートは青岸渡寺の鐘楼横から。
ここから原生林を這うような石畳を歩くと、見晴らし台のある妙法高原に出、那智勝浦の海を眺めた後、再び古道に入り、急峻な坂を登って舟見峠(標高860m、熊野古道の最高地点)へと続きます。
舟見茶屋跡があり、峠からは熊野灘を眺望し、ひと息つくことができますが、大雲取越の本番はここから。
舟見峠から登っては下りまた登るを繰り返し、石倉峠、越前峠(標高840m)を越え、「胴切り坂」と呼ばれる胴が千切れるような苦しさの坂を延々と下り、楠の久保旅籠跡(くすのくぼのはたごあと)。
さらに円座石を経て小口に到着。
小口までで約15km、所要約5時間30分。
訪れる人も少ない山道のため、装備は充分注意を。

大雲取越だけを手軽に探勝する場合には、小口をスタート・ゴールとした3時間程度の往復プランがおすすめです。

「紀伊山地の霊場と参詣道」として世界遺産に登録。
また、熊野酸性火成岩類の流紋岩からなる急峻な山塊を越えるため、南紀熊野ジオパークのジオサイトにもなっています。

大雲取越コースタイム

大雲取越

熊野那智大社〜(徒歩1時間40分)〜舟見峠〜(徒歩1時間10分)〜地蔵茶屋跡〜(徒歩50分)〜越前峠〜(徒歩50分)〜楠の久保旅籠跡〜(徒歩25分)〜円座石〜(徒歩25分)〜小口

大雲取越・小雲取越を全部踏破するには27kmあり、1日では無理です。
小口にある民宿「百福・ももふく」、「小口自然の家」に宿泊を。

来世の救済、過去の救済、現世の利益を求めての熊野詣

神仏習合の時代に、熊野本宮の主神である家津御子大神(けつみこのおおかみ)には阿弥陀如来、新宮の主神である熊野速玉大神(くまのはやたまのおおかみ)には薬師如来、那智の神である熊野牟須美大神(くまのむすびのおおかみ)には千手観音が、本地仏(ほんんじぶつ=神はあくまで仮の姿で本来の仏)としてあてられました。

阿弥陀如来(本宮)は来世の救済、薬師如来(新宮)は過去の救済、千手観音(那智)は現世の利益をつかさどるという仏教的な教義から、難行苦行の険路を歩き、熊野三所権現を巡ったので、それはまさに修行でした。
そうした往時の熊野詣(熊野三所権現巡り)の雰囲気を体感できるのがこの大雲取越です。

大雲取越
名称 大雲取越/おおくもとりごえ
所在地 和歌山県東牟婁郡那智勝浦町口色川
関連HP 田辺市熊野ツーリズムビューロー公式ホームページ
ドライブで 阪和自動車道南紀田辺ICから約119km
駐車場 なし
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。
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