和歌山県東牟婁郡串本町潮岬、紀伊半島の南端・潮岬に建つ参観灯台が、潮岬灯台。歴史的・文化的価値が高いAランクの保存灯台に指定されているほか、「日本の灯台50選」に選定。徳川幕府が開国にあたり諸外国に建設を約束した歴史ある灯台のひとつで、明治6年9月15日に初点灯しています。
江戸条約(改税約書)で設置が決まった歴史ある灯台

徳川幕府が慶応2年(1866年)に、アメリカ、イギリス、フランス、オランダの4ヶ国と結んだ江戸条約(改税約書)で設置が決定した8灯台(観音埼、野島埼、樫野埼、神子元島、剱埼、伊王島、佐多岬、潮岬)のうちのひとつが潮岬灯台。
本州最南端の沖は日本屈指の海の難所であることから建設が急がれました。
「灯台の父」と呼ばれるイギリス人技師、R・H・ブラントン(Richard Henry Brunton)の設計で明治6年9月15日に初点灯しています。
串本町にある樫野埼灯台(かしのざきとうだい)はブラントン設計の日本最古の石造灯台ですから、歴史的な保存灯台が近接していることになります。
当初の灯台は八角形で日本初の洋式木造灯台でしたが、明治11年、古座川町産の宇津木石を使った石造灯台に改築されています。
大正4年、第二等フレネル不動レンズに交換、石油蒸発白熱灯の灯器に改められ、昭和3年に電化。
昭和32年、現在の回転式に変更、さらに令和5年に光度69万カンデラ( ルクス×距離の2乗)のLRL-I2型に変わっています。

本州最南端に位置する灯台は参観もOK!

本州最南端に建つ潮岬灯台は、明治11年改築の歴史あるもの。
塔高23m、平均水面上から灯火まで49m、光達距離は19.0海里(35km)で、毎15秒に1せん光。
標高49.47mの灯火部分まで上ることができる参観灯台で、灯台資料館も併設。
冬場に限り、太平洋の東から日が昇り、西に落ちるという光景が目にできる場所で、周辺は初日の出の人気スポットになっています。
灯台近くに建つ潮御崎神社(しおのみさきじんじゃ)は、社伝によれば古代(景行天皇の御代)からこの地に鎮座する古社。
『日本書紀』に「少彦名命、行きて熊野の御崎に至りて、遂に常世郷に適しぬ」と記される「常世郷」(古代日本で信仰された、海の彼方にあるとされる異世界、理想郷)は潮岬なのだとも。
潮岬灯台周辺の海岸では、海底火山の産物である枕状溶岩や岩脈群、化学成分の異なるマグマ同士からできた火成岩の境界を観察することが可能で、「潮岬の火成岩」、「潮岬の海岸段丘」として南紀熊野ジオパークのジオサイトになっています。
経済産業省の近代化産業遺産(「安全な船舶航行に貢献し我が国の海運業等を支えた燈台等建設の歩みを物語る近代化産業遺産群」)にも認定。

| 【見学ガイド】潮岬灯台 | |
| 名称 | 潮岬灯台/しおのみさきとうだい |
| 所在地 | 和歌山県東牟婁郡串本町潮岬 |
| 関連HP | 串本町公式ホームページ |
| 電車・バスで | JR串本駅から串本町コミュニティバス潮岬・出雲線(潮岬廻り)で15分(または21分)、潮岬灯台前下車、徒歩すぐ |
| ドライブで | 阪和自動車道南紀田辺ICから約77km |
| 駐車場 | 50台/有料 |
| 問い合わせ | 燈光会潮岬支所 TEL:0735-62-0141 |
| 掲載の内容は取材時のものです、最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 | |
























