山形県酒田市升田、出羽丘陵を流れる日向川支流、滝ノ沢に懸かる落差63m、幅5mの巨瀑が玉簾の滝(たますだれのたき)で、山形県最大の直瀑。空海(弘法大師)がお告げにより発見したという伝承のある滝で、山岳密教の修験の地にもなっていました。鳥海山・飛島ジオパークのジオサイトにもなっています。
山形県随一の巨瀑は、修験道の霊地
大同3年(808年)、空海が東国巡錫した際、霊夢に不動明王の化身が立ち、滝の位置を示し、霊地に不動明王(大日大聖不動明王)を祀るように告げたとされ、中世には玉簾の滝の裏側に神座(しんざ=神霊の座する場所)、があるとされ、滝を御神体として信仰されていました。
実際に、空海が東国を巡錫したという可能性はありませんが(歴史的には唐から戻り博多に滞在していた時代)、玉簾の滝の崇高さ、神秘性から、神仏集合時代、修験道・真言密教の修験の地として栄え、空海伝説が生まれたのです。
滝が神座を隠す御簾(玉簾)の役割を果たすので、玉簾の名が付いたとも。
現在、御嶽神社として祀られる社は、大正6年に近隣に鎮座していた皇太神社、三上神社、白山神社、山神社などを合祀し、社殿を創建したもの。
参道に座禅石、庚申塔などがあるのは、明治初年の神仏分離、廃仏毀釈までは、神仏習合で不動明王などを祀る御嶽権現だったと推測できます(空海が滝の鎮守社として創建という伝承も)。
鳥海山南テラスの駐車場から遊歩道(450m)を10分ほどで玉簾の滝。
途中の御瀧神社裏側にある不動の滝(落差15m)は、「開運出世の滝」として受験生、新入社員に人気です。
厳冬期(1月中旬〜2月上旬)には氷爆の観賞できますが、遊歩道の除雪はないので、かんじきなどしっかりとした対策が必要(鳥海山南テラスまでの車道も土・日曜、祝日の午前中のみ除雪)。
例年、ゴールデンウィークとお盆期間にはライトアップも実施されています。
玉簾の滝は、二ノ滝(遊佐町)、十二滝(酒田市)とともに庄内三名瀑(飽海三名瀑)のひとつ。
海底火山の痕跡で、鳥海山・飛島ジオパークのジオサイト
玉簾の滝は、地質的には海底火山の痕跡。
1500年ほど前、海底火山の噴火で流出した溶岩が、海底でゆっくりと冷却されて誕生した玄武岩。
飛島にある玄武岩の柱状節理と同様の状節理があるのがその証拠にもなっています。
300万年ほど前、地殻変動で出羽丘陵が隆起し(東西圧縮による大地の動き)、海底の玄武岩が地表に現れたのです。
駐車場から滝へと続く遊歩道も、滝近くは滝の浸食、後退でできた部分です。
玉簾の滝 | |
名称 | 玉簾の滝/たますだれのたき |
所在地 | 山形県酒田市升田大森 |
関連HP | 酒田市公式ホームページ |
電車・バスで | JR酒田駅からタクシーで40分 |
ドライブで | 日本海東北自動車道遊佐比子ICから約21km |
駐車場 | 鳥海山南テラス駐車場(47台/無料)を利用 |
問い合わせ | 酒田市八幡総合支所 TEL:0234-64-3115 |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
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