立石寺・姥堂

立石寺・姥堂

山形県山形市山寺、山寺の通称で知られる立石寺(りっしゃくじ)。山門をくぐり、少し上ったところに建つのが姥堂(うばどう)で、堂内には三途川(さんずのかわ)で亡者の衣服を剥ぎ取る老婆の鬼・奪衣婆(だつえば)が祀られています。

ここが山寺における地獄と極楽の境界

立石寺・姥堂
立石寺・姥堂

立石寺山内にある結界のひとつで、姥堂のある浄土口から上は極楽浄土、下を地獄に見立て、往時の参拝者は近くに湧く岩清水で身を清め、新しい衣服に着替え、古い衣服は奪衣婆に奉納に、さらに山上の奥の院を目指したのです。

古くからの山岳信仰(修験道と古神道)と仏教とが習合した結果生まれた山中他界観(さんちゅうたかいかん=人の死後その霊魂が山におもむき、死後の霊魂が時間を経て先祖神になるという考えを背景に、山に霊魂がいく浄土=他界があるとする考え)で、姥堂に奪衣婆とともに地蔵尊が多数祀られているのは、地蔵尊が地獄から救済し、虚空蔵尊(こくぞうそん)が極楽への導者とされたから。
この場所が浄土口と呼ばれたのもそのためです。

徳川家の宗旨が浄土宗だったこともあり、江戸時代以降には東国の民衆にもこの地獄極楽観が根付き、立山信仰などの山岳信仰でも信者獲得にも利用されたのです。
つまり、姥堂は、山寺の修験者たちが育んだ密教的浄土観(垂直的な他界観念)を今に伝える貴重な場所ということに。

石段を上り、欲望や汚れなどの煩悩を消滅させるというまさに修行の道なのです。
間口1.5間(2.7m)、奥行1間(1.8m)、茅葺き屋根の小さなお堂ですが、祀られる奪衣婆の表情などもお見逃しなく。

姥堂の向かい側にある巨石は、笠岩、笠投岩と呼ばれ、立石寺を開山したとされる慈覚大師(円仁)が岩陰で雨宿りしたという伝承があります。

立石寺・姥堂
立石寺・姥堂
名称 立石寺・姥堂/りっしゃくじ・うばどう
所在地 山形県山形市山寺4456-1
関連HP 立石寺公式ホームページ
電車・バスで JR山寺駅から徒歩5分
ドライブで 山形自動車道山形北ICから約10.6km
駐車場 150台/有料
問い合わせ 立石寺山門寺務所 TEL:023-695-2843
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。
立石寺

立石寺

山形県山形市山寺、山寺の通称で知られる立石寺(りっしゃくじ)は、貞観2年(860年)、慈覚大師(円仁)が創建したと伝わる天台宗の古刹。実際の開祖は安慧(あんね)で、『奥の細道』で、芭蕉が訪れ「閑(しづ)かさや岩にしみ入る蝉の声」の句を詠んだ

 

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