【重要文化財】釣島灯台

釣島灯台・ 釣島灯台旧官舎

愛媛県松山市の沖、瀬戸内海の釣島(つるしま)にある灯台が釣島灯台。明治6年に「灯台の父」と称されるイギリス人技師リチャード・ヘンリー・ブラントンが建てた歴史ある灯台で、国の重要文化財。付属する職員の官舎である「吏員退息所」(釣島灯台旧官舎)も現存し、経済産業省の近代化産業遺産にも認定されています。

「灯台の父」ブラントン設計の灯台が現存

釣島灯台

釣島は松山市の西5kmの海上に浮かぶ周囲約2.6km、標高152mの小さな島。
灯台の周囲はみかん畑、びわ畑というのどかな風景ですが、眼前の釣島海峡は来島海峡(くるしまかいきょう)へと続く海の難所の入口。
兵庫(神戸港)の開港にあわせて瀬戸内海の航行を守るために建設された灯台のひとつで、航行の難所である伊予灘(いよなだ)と安芸灘(あきなだ)を行き交う船舶の安全を守り続けてきました。

リチャード・ヘンリー・ブラントン(Richard Henry Brunton)の設計で、明治6年6月15日に初点灯。
愛媛県内最初の西洋式灯台で、倉橋島産などの御影石を用いて建設。
ブラントンの設計した26灯台のひとつで、四国では、鍋島灯台(香川県坂出市)と釣島灯台の2ヶ所のみです。

初点灯時の灯台長も、お雇い外国人という時代で、日本人にはまだ近代的な灯台を保持する技術がなく、外国人灯台守の指導を受け、灯台の近代化が実現したのです。
釣島は、藩政時代には松山藩の放牧場だった島で、灯台建設当時の明治初年には人家はわずかに8軒だったとか。

釣島灯台

旧官舎と旧倉庫、石垣も国の重要文化財

釣島
釣島

ブラントンの設計で、明治4年9月に着工、明治6年6月15日に初点灯した釣島灯台。
建設年代順では日本で9番目の西洋式灯台となりますが、今も往時のままに現役なのは釣島灯台のみ。
昭和38年4月に無人化されています。

南側下段に灯台が建ち、北側上段に旧官舎と旧倉庫が現存。
旧官舎にはイギリスから輸入されたマントルピースが備わっています。
灯台とともに旧官舎と旧倉庫、石垣も国の重要文化財に指定。

塔高は10.3mですが、島の高台に建つため平均海面から灯火は58.2m、光達距離20.5海里(38km)で、毎16秒に白1閃光赤1閃光。

国の重要文化財に指定されるほか、Aランクの保存灯台で、四国では、男木島灯台(香川県高松市)、鍋島灯台(香川県坂出市)、室戸岬灯台(高知県室戸市)とともに経済産業省の近代化産業遺産(「安全な船舶航行に貢献し我が国の海運業等を支えた燈台等建設の歩みを物語る近代化産業遺産群」)に認定(いずれの灯台も外観のみ見学可)。

なお、釣島に渡るフェリーは朝・夕の1日2便で、朝出発しても夕方(滞在時間約6時間)まで帰る便がありません(島内には食堂、宿泊施設はないので注意が必要)。

釣島灯台・ 釣島灯台旧官舎
【重要文化財】釣島灯台
名称釣島灯台/つるしまとうだい
所在地愛媛県松山市泊町1456(釣島)
関連HP松山市公式ホームページ
電車・バスで三津浜港発、高浜港経由の西中(中島)行きフェリーで釣島港で下船。港から灯台まで徒歩20分
ドライブで車両乗降は三津浜港のみ可能
駐車場三津浜港、高浜港の駐車場を利用
問い合わせ松山市文化財課 TEL:089-948-6603
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。

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