日本三大聖天とは!?

聖天(しょうでん、しょうてん)とは、仏教の守護神の歓喜天(かんぎてん=歓喜自在天)のこと。四天王、帝釈天、吉祥天、弁財天、鬼子母神、大黒天などと同様に天部の神のひとつです。それを祀る日本三大聖天は、妻沼聖天(歓喜院)、待乳山聖天(本龍院)、生駒聖天(宝山寺)の3ヶ所を数えるが一般的。

聖天(歓喜天)のルーツはインドのヒンドゥー教の神様

たとえば東京・浅草の待乳山聖天(本龍院)は、「十一面観世音菩薩が悲愍の眼を開き、大聖歓喜天(だいしょうかんぎてん)の姿となってこの山に降臨されて、 苦しむ民を救いました」というのが起こりとしています。

聖天(歓喜天)は、観自在菩薩(観世音菩薩)または大日如来の権化身(本来は仏なのですが、仮に神様となって降臨)。
逆にいえば聖天(歓喜天)の本地仏は、観自在菩薩(観世音菩薩)または大日如来ということになります。

本地垂迹(ほんじすいじゃく)とは、仏教が興隆した時代に日本古来の神道を習合して生まれた神仏習合思想。
日本の八百万の神々は、実は様々な仏(菩薩や天部なども含む)が化身として日本の地に現れた権現(ごんげん/権=仮に・現=現れる)であるとする考えです。

仏教の天部の神々のほとんどはインドのヒンドゥー教を由来しますが、聖天(歓喜天)もヒンドゥー教のガネーシャ(Gaṇeśa)がルーツ。
ガネーシャとは、サンスクリットで「群衆(ガナ)の主(イーシャ)」で、インドでは富の神様として崇められています。
その父は、なんとヒンズー教最高神であるシヴァ神(シヴァ神は仏教に取り入れられ大黒天になっています)。

象の頭に4本の腕をもつ姿なので、仏教に取り入れられてからも象鼻天(ぞうびてん)とも称され、象頭の神像となっています。
悪神が十一面観世音菩薩によって善神に改宗し、仏教を守護し財運と福運をもたらす天部の神とされ、そのパワフルなご利益と、姿から庶民の信仰を集めてきました。

天部の神様は穢(けがれ)を嫌うことから、身を清めての参拝を。

三大聖天は、実は諸説あり定かでない!?

一般的に三大聖天には埼玉県熊谷市の妻沼聖天(歓喜院)、東京・浅草寺の子院である待乳山聖天(本龍院)、そして奈良県生駒市の生駒聖天(宝山寺)を数えますが、三重県桑名市の桑名聖天(大福田寺)を加える場合もあり、定かではありません。
静岡県小山町の足柄聖天(足柄山聖天堂)、兵庫県豊岡市の豊岡聖天(東楽寺)という人もいます。
諸説あるのは、この三大も「詠み人知らず」で、近世以降の創作だから。
宗派もまちまちです。

妻沼聖天(歓喜院)|埼玉県

本殿「歓喜院聖天堂」は国宝

所在地:埼玉県熊谷市妻沼1627
正式名:聖天山歓喜院長楽寺
宗派:高野山真言宗
本尊:歓喜天御正体錫杖頭(重要文化財)
創建:治承3年(1179年)
開基:斎藤実盛(さいとうさねもり)
備考:「埼玉の日光」と呼ばれている絢爛豪華な建物
本殿「歓喜院聖天堂」は享保20年(1735年)〜宝暦10年(1760年)の築で国宝
御利益:開運、魔除け、縁結び

妻沼聖天山歓喜院

妻沼聖天(めぬましょうてん)で知られる埼玉県熊谷市の古刹で東京・浅草の待乳山聖天(本龍院)、奈良県生駒市の生駒聖天(宝山寺)と並んで「日本三大聖天」に数えられています(三重県桑名市の大福田寺、静岡県小山町の足柄山聖天堂とする説も)。本殿「歓

待乳山聖天(本龍院)|東京都

浅草の霊山には待乳山聖天スロープカーで参詣

所在地:東京都台東区浅草7-4-1
正式名:待乳山本龍院
宗派:聖観音宗
本尊:歓喜天(聖天)・十一面観音/十一面観音菩薩を本地仏(聖天は観自在菩薩の権化身)とする大聖歓喜天は、仏法を守護し、 仏道を行ずる人々を守護する天部の神様
創建:推古天皇3年(595年)/寺伝
開基:地中から忽然と湧き出た霊山
備考:浅草寺の子院のひとつで、浅草名所七福神の毘沙門天も祀られています
隅田川沿いの東京都道314号(言問大谷田線)と高台に位置する境内とを結び、さくらレールと呼ばれる待乳山聖天スロープカーを設置
御利益:夫婦和合、子授けの神としても信仰されていますが、諸神仏に捨てられた祈願も歓喜天に一心にすがれば救って下さると信仰されてきました

待乳山聖天(本龍院)

待乳山聖天(本龍院)

東京都台東区浅草にある聖観音宗の寺、本龍院。浅草寺の子院のひとつで、山号の待乳山、本尊の歓喜天(聖天)から待乳山聖天(まつちやましょうでん)と称されています。奈良県生駒市の生駒聖天(宝山寺)、埼玉県熊谷市の妻沼聖天(歓喜院)とともに日本三大

待乳山聖天スロープカー

待乳山聖天スロープカー

東京都台東区浅草、浅草寺(せんそうじ)の子院で、聖観音宗の寺・本龍院は、待乳山聖天(まつちやましょうでん)として有名。隅田川沿いの東京都道314号(言問大谷田線)と高台に位置する境内とを結び、さくらレールと呼ばれる待乳山聖天スロープカーが

生駒聖天(宝山寺)

毎月1日、16日が縁日で、1月1日〜1月3日は初聖天で福財布が授与

所在地:奈良県生駒市門前町1-1
正式名:生駒山寳山寺(都史陀山大聖無動寺)
宗派:真言律宗
本尊::不動明王
創建:延宝6年(1678年)
開基:湛海
備考:もともとは役行者(えんのぎょうじゃ=役小角・えんのおづぬ、修験道の始祖)や空海(弘法大師)が修験の場として開いた霊山
延宝6年(1678年)、律僧で仏像彫刻の名匠・宝山湛海(ほうざんたんかい)が入山し、大聖歓喜自在天を祀り、生駒聖天としての信仰が始まります
参詣のため近鉄生駒駅と生駒山上を結ぶ近鉄生駒ケーブルの中間駅・宝山寺駅も設置
御利益:商売繁盛、金運向上、夫婦和合、良縁など

宝山寺(生駒聖天)

生駒聖天として商売繁盛の御利益で知られる奈良県生駒市の古刹、宝山寺(ほうざんじ)。古来から神聖視された生駒山の山麓にあり、参詣のため近鉄生駒駅と生駒山上を結ぶ近鉄生駒ケーブルの中間駅・宝山寺駅も設置。東京都台東区浅草の待乳山聖天(本龍院)、

生駒ケーブル

生駒山(奈良県生駒市)に架かるケーブルカーで、近畿日本鉄道生駒鋼索線が正式名ですが一般には生駒ケーブルと呼ばれています。鳥居前駅~宝山寺駅の宝山寺線(全長948m、標高差146m、最大勾配227‰=大正7年開通、)と宝山寺駅~生駒山上駅の山

桑名聖天(大福田寺)

桑名聖天(歓喜天)は、桑名藩主・松平定重の持念仏

所在地:三重県桑名市東方1426
正式名:神宝山法皇院大福田寺
宗派:高野山真言宗
本尊:阿弥陀如来
創建:飛鳥時代/寺伝
開基:聖徳太子/寺伝
備考:天武天皇、持統天皇、さらには聖武天皇の行幸を受け、伊勢神宮の神宮寺として大神宮寺と号していたという名刹
寛文2年(1662年)、伊勢桑名藩主・松平定重(まつだいらさだしげ)の援助で現在地に再興され、桑名聖天(歓喜天)は、松平定重の持念仏
御利益:安産祈願、初宮詣、災難除、諸願成就、厄除、合格祈願・車祓いなど
毎月1日・16日は、桑名聖天月例祭「桑名の聖天さん」

大福田寺

大福田寺

三重県桑名市にある聖徳太子開山の伝説のある古刹が大福田寺(だいふくでんじ)。天武天皇、持統天皇、さらには聖武天皇の行幸を受け、伊勢神宮の神宮寺として大神宮寺と号していたという名刹です。祀られる桑名聖天は、東京都台東区の本龍院(待乳山聖天)、

日本三大聖天とは!?
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