常陸国分寺(国特別史跡常陸国分寺跡)

741(天平13)年の聖武天皇の詔によって68の国ごとに建立された国分寺(こくぶんじ)は、正式には金光明四天王護国之寺(こんこうみょうしてんのうごこくのてら)といい、常陸国分寺は、752年(天平勝宝4)年の建立。同年5月には百済王族の子孫・百済王敬福(くだらのこにきしきょうふく)が常陸守に任ぜられています。

金堂、講堂、中門などの礎石が現存

後継寺院である現在の常陸国分寺の本堂
薬師堂は金堂跡の一部に建っています

『常陸府中鏡』によれば752(天平勝宝4)年に完成。
939(天慶2)年、平将門の乱で焼失。
再建された国分寺も、1590(天正18)年、佐竹氏が大掾(だいじょう)氏を府中城に攻めたとき、国分尼寺と同時に焼失したと推測されています。

現在の国分寺はその後の復興で(後継寺院)、江戸時代には徳川幕府の庇護を受けています。
古代の中門の位置には仁王門がありましたが明治41年に焼失。

東国最大の国分寺がここに建っていた!

常陸国分寺の講堂跡
現在の国分寺の駐車場が古代の中門のあった場所

古代の常陸国は、大和朝廷の東方支配の前線基地的な役割があったため、国分寺も僧20名、封戸50戸、水田10町、寺料は6万束と近江国と並ぶ最高待遇を受けていていました。

寺域も東西270m、南北240mという広大なもので金堂、講堂、中門などの礎石が現存しています(国の特別史跡)。
発掘調査の結果、奈良時代の鐙瓦(あぶみがわら=軒丸瓦)、宇瓦(のきがわら)などが出土。
中門、金堂、講堂が一直線に並び、中門から金堂にかけて回廊が巡らされていることが判明しています。

ちなみに常陸国分尼寺跡(全国唯一の国の特別史跡に指定の国分尼寺跡)は国分尼寺跡の西北500mに位置し、常陸国衙(ひたちこくが=常陸国の政庁)は石岡小学校一帯。
総社は現在の常陸國總社宮です。

国の特別史跡に指定される国分寺跡は全国にわずかに3ヶ所。
常陸国分寺跡のほかに、遠江国分寺跡(磐田市)と讃岐国分寺跡(高松市)の2ヶ所だけです。

常陸国分寺(国特別史跡常陸国分寺跡)
名称常陸国分寺(国特別史跡常陸国分寺跡)/ひたちこくぶんじ(くにとくべつしせきひたちこくぶんじあと)
所在地茨城県石岡市府中5-1
関連HP石岡市観光協会公式ホームページ
ドライブで常磐自動車道千代田石岡ICから約4.2km
駐車場20台/無料
問い合わせ常陸国分寺 TEL:0299-22-2827
掲載の内容は取材時のものです、最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。
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