鍋田横穴

鍋田横穴

熊本県山鹿市鍋田、岩野川(菊池川の支流)を渡る国道443号の鍋田橋西詰近くにある古墳時代後期の横穴墓が、鍋田横穴。阿蘇凝結熔解岩の露頭(崖)に穴を掘り、墓としたもので500mの間に確認されているだけで総数61基もの横穴墓が築かれ、国の史跡に指定されています。

27号墓の左外壁のレリーフに注目を

鍋田横穴
27号墓の左外壁に彫られたレリーフ、右が墓を守る番兵、左が大きな靫(ゆぎ)に入った矢

61基ある横穴墓のうちの12基の羨門(せんもん=入口)、外壁には、色々なモチーフの装飾が施され、さらに27号墓の左外壁に墓室の番兵の姿、矛(ほこ)や鞆(とも=手首の内側につけて、矢を放ったあと弓の弦が腕や釧に当たるのを防ぐ道具)、靫(ゆぎ=矢を入れ、背に負った細長い箱形の道具)、馬、盾などのノミで彫られたレリーフが配されています。
入口に描かれていることから、玄室内への悪霊の侵入を防ぐものとする説が有力です。

古墳時代の後期にこの地を支配した豪族たちの墓で、チブサン古墳とともに大正11年に国の史跡になっていることから(令和4年に指定100周年)、古くから注目された横穴墓であることがわかります。
その背景には地元で文化財保護に尽力した人々の存在があり、熊本県立装飾古墳館(平成4年4月15日開館、チブサン古墳ほか県内12カ所の装飾古墳を細部にわたり忠実に再現して展示)が山鹿市(岩原古墳群の一角)にあることにもつながっています。

一帯は鍋田いこいの森公園として整備され、散策がてらに見学が可能。

熊本県内の装飾古墳は、5世紀前半築造の県南・八代市の古墳が最初で、天草や宇土半島へと分布域 が拡大し、5世紀後半には熊本県北部、さらに6世紀に入ると菊池川流域に広がっています。
菊池川流域には117基の装飾古墳があり、中流域の山鹿市には日本の装飾古墳を代表する1基のチブサン古墳、オブサン古墳、弁慶ヶ穴古墳などがあります。

鍋田横穴
名称 鍋田横穴/なべたよこなな
所在地 熊本県山鹿市鍋田東
関連HP 山鹿市公式ホームページ
ドライブで 九州自動車場菊水ICから約8km
駐車場 8台/無料
問い合わせ 山鹿市立博物館 TEL:0968-43-1145/FAX:0968-43-1143
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。
熊本県立装飾古墳館

熊本県立装飾古墳館

熊本県山鹿市鹿央町、岩原古墳群(肥後古代の森鹿央地区)にある装飾古墳を解説するミュージアムが熊本県立装飾古墳館。装飾古墳室では、熊本県内の主要な装飾古墳のうちチブサン古墳、永安寺東古墳、井寺古墳など12基を選び、これらの精密なレプリカを作り

チブサン古墳

チブサン古墳

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