米軍伊江島補助飛行場滑走路跡地

米軍伊江島補助飛行場滑走路跡地

沖縄県国頭郡伊江村、本部半島の北西9kmの洋上に浮かぶ伊江島の西部、島の北東から南西にかけて縦断しているのが、米軍伊江島補助飛行場滑走路跡地。伊江島には、伊江島空港のほか、跡地を含めて4本の滑走路があり、そのひとつが米軍伊江島補助飛行場滑走路跡地です。

日本軍が築いた滑走路を、接収後に米軍が拡張

米軍伊江島補助飛行場滑走路跡地
伊江島空撮PHOTO MAP

伊江島の飛行場は、沖縄戦直前の昭和19年に日本軍が整備した3本の滑走路が前身(米軍の沖縄上陸を目前の昭和20年3月10日、自らの手で破壊)。

米軍は昭和20年4月16日8:00に西崎海岸から上陸を開始し、「沖縄戦が凝縮した」とも表現される「六日戦争」(伊江島戦)が展開しますが、4月21日の早朝に伊江島守備隊は玉砕、4月21日17:30に米軍は伊江島の確保を宣言しています(伊江島戦では軍人2000名、村民1500名が戦死)。

伊江島を占領した米陸軍第77歩兵師団は、ただちに飛行場を復旧し、日本軍が完成できなかった西飛行場も拡張して整備し、米陸軍航空隊飛行場に。
昭和20年8月9日 長崎に原爆を投下したB29は、帰途、伊江島で給油し、テニアン島基地に帰島するなど、運用を開始。
さらに朝鮮戦争の勃発で、地上標的を造成を目的に土地の強制接収を行ない、ブルトーザーで住宅を破壊し、家屋や農地を焼き払うなどして、「島ぐるみ闘争」が生まれています。

昭和47年5月15日の沖縄返還後も日米地位協定により飛行場など広大な土地は米軍の支配下でしたが、昭和51年7月8日、日米安全保障協議委員会で移設条件付で全部返還が合意(実現は不透明)。
昭和52年3月31日、海洋博覧会関連飛行場用地として0.6haが返還され、伊江島空港が開場。

その結果、現在は、島の東側から、伊江島空港、米軍伊江島補助飛行場滑走路跡地、米軍伊江島補助飛行場滑走路(現行)、平成30年に建設された米軍伊江島LHDデッキという4本の滑走路が存在することに。

米軍伊江島補助飛行場滑走路跡地は、米軍の管理区域にありますが、実際には滑走路として使用されておらず、基本的に自由に出入りが可能で、村民の生活道路としても活用されています。

米軍伊江島補助飛行場滑走路(現行)と米軍伊江島LHDデッキは、フェンスに囲まれた米軍の施設内にあります(擬態の強襲揚陸艦甲板、貨物や人員のパラシュート訓練に使われる降下訓練地域です)。

米軍伊江島補助飛行場滑走路跡地は、跡地とはいえ、現在も米海兵隊太平洋基地の管理下なので、そのことを理解した上で、立ち寄りを。
米海兵隊作戦支援分遣隊の海兵隊員は、島の行事などにも積極的に参加し親交を深めていますが、沖縄における微妙な日米関係を反映した場所のひとつとなっています。

米軍伊江島補助飛行場滑走路跡地
名称 米軍伊江島補助飛行場滑走路跡地/べいぐんいえじまほじょひこうじょうかっそうろあとち
所在地 沖縄県国頭郡伊江村西江上
電車・バスで 伊江島空港から徒歩20分。伊江港から伊江島観光バス真謝入口行きで19分、古堅商店前下車、徒歩7分
ドライブで 伊江島空港から約1km 伊江港から約5km
問い合わせ 伊江村商工観光課 TEL:0980-49-2001
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。
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