小林さんのルーツを探せ!

日本の苗字の8割以上は地名から来ている。
では、なぜ大林姓より小林姓が多いのだろうか?
大川さんよりも小川さんが多いし、大山さんより小山さんが多い。きっと日本人は、大より小を選ぶ奥ゆかしい民族なのだろう。

小林さんのルーツは長野県

小林さんのルーツを探ると、そばの旨い信州(長野県)にたどりつく。
長野県は小林姓のルーツの一つでもあり、全国の小林姓は長野を中心として分布しているといっても過言ではない。
雄大な自然に取り巻かれているはずの長野県で一番多い苗字は小林姓で、大林姓は少なく、ましてや森林(もりばやし)などという姓は聞いたことがない。
他に小林は群馬(大姓2位)、山梨(2位)、茨城(3位)、新潟(3位)あたりと関東近県の大姓となっている。

長野県で小林さん関係のあれこれを探してみることにしよう。
信濃国の小林姓は、伊那郡小林村(現在の飯田市下久堅小林地区)を発祥とし、諏訪氏の同族として各地に広まったという。

この長野県の小林姓で一番有名な人物は、江戸時代の俳人・小林一茶だ。

一茶は、1763年(宝暦13)、北信濃、北国街道柏原宿(現・信濃町)の農家に生まれ、本名を弥太郎という。
柏原宿のやや北よりに、菩提寺・明専寺(みょうせんじ)があり、宿場の南よりにある一茶が最晩年をすごした焼け残りの土蔵が、「国史跡小林一茶旧宅」だ。
そのほか 諏訪神社、俳諧寺 、一茶の母の家跡などが残されている。
今でもこのあたりは、小林姓の多い長野県の中でも特に小林さんの集中地域となっている。

小林一茶旧宅

小林一茶旧宅

群馬県に高山氏一族の小林さんのルーツが

信濃国と並んで有名な小林姓の発祥地は上野国(こうずけのくに/上州=現在の群馬県)だろうか。
上野国の小林氏は桓武平氏の出で、緑野郡(みどのぐん/後の多野郡)高山御厨(みくり)小林(現在の藤岡市小林)があり、高山氏一族の小林氏居館跡が残されている
緑野郡小林村は明治22年の町村制で藤岡町と合併し、藤岡町に。昭和29年に藤岡市となっている。
藤岡コンクリート工業の北側が小林館の跡地だが、残念ながら私有地で見るべきものはない。

ほかに、大和国宇陀郡小林(往時には法貴寺城、小林庄があった/奈良県磯城郡田原本町)を発祥とする神官系の大神(おおみわ)流。
しかし、法貴寺城などもたどり着くことはすでに難しい。

印西市と鎌倉市にも小林さんのルーツが

上総国長柄郡小林(千葉県印西市小林)を発祥とする桓武平氏伊勢氏流の小林姓。JR成田線小林駅近くに、県道によって真っ二つに切断された小林城跡があるが築城者など詳しいことはわかっていないのが残念だ。
利根川を見下ろす下総台地の先端にあり、下総国と常陸国の境界を守る重要な地だったと推測できる。
県道工事に当たっての発掘調査では、中世の土器や陶磁器,石製品などのたくさんの遺物が出土している。

相模国鎌倉郡小林郷を発祥とする三浦氏流がある。strong>鎌倉郡小林郷は、現在の鎌倉市の中心、鶴岡八幡宮周辺。治承4年(1180)、源頼朝は八幡宮(鶴岡若宮・由比若宮)を由比郷鶴岡から小林郷へと移している。
関東エリアの小林さんなら、一度は鶴岡八幡宮に参拝せねばなるまい。小林さんの重要なパワースポットだろう。

小林郷に建つ鶴岡八幡宮は小林さんゆかりのパワースポット

小林郷に建つ鶴岡八幡宮は小林さんゆかりのパワースポット

名古屋の小林さんは清浄寺へ!

尾張国愛知郡前津小林。現在の名古屋市の御器所(ごきそ)周辺だ。名古屋市中区大須4丁目ある清浄寺(矢場地蔵)は牧氏が築いた小林城の城跡という。
築城は、天文17年(1548)。一帯は中世まで伊勢湾が入り込み、「まへの津」という湊のあった場所。上前津、下前津という地名はこの湊に由来しているのだ。
戦国時代には前津村と小林村が統合され前津小林村と称したが、小林城を築いた牧長清は織田信長の妹(おとくの方=小林殿)を妻にしており、桶狭間の戦いでも活躍している。
名古屋周辺の小林さんならぜひ足をのばしてもらいたい場所だ。

その他、三河国設楽郡小林(現在の北設楽郡東栄町本郷小林)、摂津国島上郡小林、摂津国武庫郡小林、播磨国印南郡小林など全国各地にその発祥地が散在している。

小林さんの代表的な家紋は揚羽蝶

宮崎県の小林市も重要な小林姓の発祥地ではなかろうかと考えた。
なにしろ市の名前が小林だし、JR吉都線の駅名にも小林駅があるし、伊東氏と島津氏の激戦があった小林城跡も残されている。
かつて小林城跡付近は、小林原(こべしばる)と呼ばれていたという。

そんな小林市で最初に見つけたのが、どういうわけか三之宮峡の下流にある小林の陰陽石で、陽石の高さは17.5m、陰石の周囲は5.2m。
しかしながら、陰陽石から小林氏が生まれたわけではなかろうと、ここで小林市に住む小林姓を調べてみるとその数の少ないこと。
小林さんは地名由来姓といいながら、どうやら小林姓の発祥地とはあまり関係がなさそうな小林市ではある。
全国の小林さんたちの第二のふるさとになるようにと、現地では様々な「小林さんイベント」を用意しているようだ。

小林氏の家紋は出自が多流なため種類も多いが、上野や上総、相模の小林氏は桓武平氏の代表紋とされる揚羽蝶(あげはちょう)が多い。
その他、抱茗荷(だきみょうが)、輪違い、蔦、横木瓜(もっこう)、九曜、三階松、花輪違い、剣片喰(けんかたばみ)、二引両、剣梅鉢、五三桐など。

協力/札場靖人(家紋と姓名研究家)

 

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