島根県松江市、安来市と鳥取県境港市、米子市にまたがる湖面面積85.68平方キロの湖が中海(なかうみ、なかのうみ)。東側は境水道を通じて美保湾(日本海)に通じる汽水湖。西側には大橋川を経て宍道湖(しんじこ/松江市、出雲市)につながっています。入江が砂州によって閉じて誕生した山陰最大の汽水湖で、日本第5位の面積を誇っています。
「たたら製鉄」が生み出した潟湖!?
北側を東西65kmの島根半島、東側が砂丘状の弓ヶ浜半島(五里ヶ浜/全長約17km、幅4kmの砂州)で塞がれた中海。
もともとは宍道湖と一体の大きな入江(湾)だったと推測でき、同じ海跡湖の宍道湖も汽水湖なので、日本では数少ない「連結汽水湖」になっています。
ただし、縄文海進(縄文時代の海面上昇)で、弓ヶ浜半島は水没し、奈良時代編纂の『出雲国風土記』には「飫宇の入海」(おうのいりうみ)と表記され、湾だったことがわかっています。
万葉時代にも弓ヶ浜半島は、夜見嶋(よみしま)という島だったのです。
島根県の花崗岩には磁鉄鉱の含有率が高いため、奈良時代から山岳部(日野川、斐伊川上流部など河川の上流部)で磁鉄鉱の採掘が行なわれました。
「たたら製鉄」の鉄穴流し(かんなながし)で、砂鉄を取り出した後の土砂を大量に流したこともあり、夜見嶋周辺に砂州が発達、弓ヶ浜半島が形成されて中海(潟湖)が誕生したのです。
日本でも第5位の巨大な湖で、大根島、江島(松江市)、亀島(安来市)という島が浮かんでいます。
絵島と境港市街を結ぶ橋が、ダイハツ工業・タントカスタムのCMで一躍注目を浴びるようになった「ベタ踏み坂」(島根県側からの勾配は6.1 %)で知られる江島大橋です。
ただし、大橋川に架る中海大橋(島根県松江市)は勾配7%で、「ベタ踏み坂」度合いではこちらの方が上。
冬季はコハクチョウが飛来し、日本の集団渡来地の南限となっており、8724ha(うち特別保護地区8043ha)が中海鳥獣保護区(集団渡来地)に指定。
ラムサール条約(特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約)の登録湿地にもなっています。
中海 | |
名称 | 中海/なかうみ、なかのうみ |
所在地 | 島根県松江市・安来市・鳥取県境港市・米子市 |
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