鳥取県岩美郡岩美町唐川にある低層湿原が唐川湿原。標高370m〜400m内外の東西230m、南北800mに広がり、大沢池や流れる小川に沿って低層湿原が発達しています。100種類の湿原植物が自生していますが、下流側の0.6haにはカキツバタが自生し、唐川のカキツバタ群落として国の天然記念物に指定されています。
大沢池の余水が湿原を形成
稲葉山山系の大井津山(519.3m)の北、大芽山から稲葉山(宇倍野山)にかけて広がる塩見川の源流部の溶岩台地上にある泥炭層の低層湿原で、上流部の大沢池は、江戸時代に人為的に堰き止められた池。
大沢池は、幕末の文久3年(1863年)、小倉勝次郎が農業用の溜池として、銀350貫という巨額の私財を投じて築いたもの(明治6年完成)。
その用水である土水路から漏れる水が台地に供給され、低層湿原が生まれたのです。
下流部の農家の減少、土水路の荒廃で、農業用水の確保、湿原の維持が困難になりつつあったため、鳥取県が水路の改修工事を行ない、コンクリート化した水路にわざと穴を開け、湿原に水を供給しています。
工事に合わせて湿原を巡る遊歩道が整備され、その下に穴あき水路管が通っています(平成8年完成)。
初春のサワオグルマ、初夏のカキツバタ、秋のサワギキョウなどが咲き、カキツバタの見頃は5月中旬〜6月初旬。
湿原にはモウセンゴケなどの食虫植物も生育し、ハッチョウトンボの生息地にもなっています。
周囲に日本海ゴルフ倶楽部稲葉山コースがあるため、一帯19.8haが鳥取県の自然環境保全地域に指定され保護されています。
また、湿原を潤す水も大沢池から流れ出しているため、大沢池水利組合が大切に水を管理しています。
同じ岩美町では、牧谷の又助池(またすけいけ)にもカキツバタ群落があり、唐川湿原よりひと足早く、5月中旬頃に見頃を迎えます。
「唐川のカキツバタ群落」は、「小堤西池のカキツバタ群落」(愛知県刈谷市)、「大田ノ沢のかきつばた群落」(京都府京都市北区上賀茂、大田神社境内)と並び、日本三大カキツバタ自生地のひとつ。
唐川湿原(唐川のカキツバタ群落) | |
名称 | 唐川湿原(唐川のカキツバタ群落)/からかわしつげん(からかわのかきつばたぐんらく) |
所在地 | 鳥取県岩美郡岩美町唐川 |
関連HP | 岩美町公式ホームページ |
電車・バスで | JR岩美駅からタクシーで40分 |
ドライブで | 中国自動車道佐用ICから約75km |
駐車場 | 20台/無料 |
問い合わせ | 岩美町観光協会 TEL:0857-72-3481 |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
最新情報をお届けします
Twitter でニッポン旅マガジンをフォローしよう!
Follow @tabi_mag