和歌山県田辺市にある岩礁の岬が天神崎(てんじんざき)。田辺湾の北側に突き出た小さな岬ですが、日本におけるナショナル・トラスト運動発祥の地として名高い。丸山と呼ぶ海岸部の小さな島、21haの平坦な海食台の岩礁地帯、日和山を中心とする20haの海岸林が覆う海岸段丘の丘陵部からなり、森、磯、海が一体となって生態系を形成しています。
日本のナショナル・トラスト運動発祥の地
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昭和49年、丘陵部の森(魚が集まることを維持する貴重な森)に別荘地の開発計画が進んでいることを田辺商業高等学校(現・神島高等学校)の外山八郎先生が知り、田辺市民に呼びかけて「天神崎の自然を大切にする会」を結成。
1万6000名の署名を集め、田辺市長や和歌山県知事に提出しました。
県立自然公園内でしたが、私有地のため、県は建設差し止めができません。
「天神崎の自然を大切にする会」では、日和山の南斜面の土地を買い上げることで、森を守るというナショナル・トラスト運動を展開、こうして天神崎の貴重な自然が守られたのです。
保護運動に参加した多くの人々は、明治時代の博物学者で熊野古道の鎮守の森の維持を唱えた南方熊楠(みなかたくまぐす)の世界観・風景観(『南方曼荼羅』で表現)を継承し、名勝「南方曼荼羅の風景地」(13ヶ所)のひとつとなっています。
南方熊楠は、手つかずの照葉樹林が残る田辺湾内の無人島・神島(かしま)の木々の伐採計画でも、当時の村長や知事らに働きかけて、国の天然記念物指定に大きく貢献しているのです。
海食台は、新生代新第三紀新世中期の田辺群層からなる砂岩、砂岩・泥岩の互層で、沖合250mにまで続いています。
干潮時に入江、潮だまりが現れる岩礁地帯には、約60種類のサンゴ、約50種類のウニなども観察でき、釣りや磯遊びに最適。
「天神崎の自然を大切にする会」による自然観察教室、陸上、海中の清掃活動、湿地整備活動なども実施されています。
条件が揃うと(風のない引き潮時に岩礁にたまった水が反射)ウユニ塩湖のような景色となり、SNSなどでも注目のスポットとなっています。
画像協力:公益社団法人和歌山県観光連盟
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天神崎 | |
名称 | 天神崎/てんじんざき |
所在地 | 和歌山県田辺市天神崎 |
関連HP | 田辺観光協会公式ホームページ |
電車・バスで | JR紀伊田辺駅から明光バス目良行きで20分、終点下車、徒歩15分 |
ドライブで | 阪和自動車道南紀田辺ICから約15km |
駐車場 | 20台/無料 |
問い合わせ | 田辺観光協会 TEL:0739-26-9929/FAX:0739-22-9903 |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
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