熊野那智大社の創建は仁徳天皇の御代と伝えられる古社で、熊野本宮大社、熊野速玉神社とともに、「紀伊山地の霊場と参詣道」として世界遺産に登録された熊野三山の一社。那智原生林や那智滝など、山全体が霊場となっているのが那智山一帯で、熊野那智大社は、青岸渡寺と並んでその中核的な存在となっています。
主祭神は熊野夫須美大神で、熊野三山のすべての神が祀られている
明治の神仏分離、廃仏毀釈までは隣接の那智山青岸渡寺(神仏分離以前は如意輪堂)と一体となっていました(神仏習合の那智権現)。
権現とは仏が仮(=権)に姿を変えて日本の神として現れること。
熊野那智大社の主祭神は第四殿に祀られる熊野夫須美大神(くまのふすみのかみ)で、神仏混淆時代の本地仏は千手観音(現世利益)。
第二殿(家津御子大神=阿弥陀如来)と第三殿(御子速玉大神=薬師如来)をあわせ、熊野三所権現(熊野権現)を祀っています。
神仏習合時代の熊野三山にはそれぞれ役割があり、本宮は西方極楽浄土、新宮は東方浄瑠璃浄土、那智は南方補陀落浄土の地であるとされ、中世には熊野全体が浄土の地とされていました。
世界遺産の構成資産、那智原生林や那智滝も熊野那智大社の神域
467段におよぶ石段の上に建つ拝殿、その神域には日本サッカー協会のロゴにも用いられた八咫烏(やたからす=熊野の神様のお使い)の烏石もあります。
南向きの朱塗りの拝殿の後ろに独特な熊野権現造の社殿5棟と、その脇に8神を合わせ祀る八社殿(第六殿)が建っています。
熊野権現造の第一殿(滝宮)、第二殿(証誠殿)、第三殿(中御前)、第四殿(西御前)、第五殿(若宮)と八社殿(第六殿)、御縣彦社(みあがたひこしゃ=八咫烏を祀る)、鈴門と瑞垣が江戸時代の再建で、国の重要文化財に指定されています。
他の二山と異なるのは、滝をご神体とした原始崇拝の歴史があるため、滝の神様を祀っているため一柱多く神様(滝宮)を奉斎しています。
周辺の森(熊野那智大社の社有林)は、本州屈指の混交林の「那智原始林」として国の天然記念物に指定。
境内には推定樹齢850年、平重盛の手植えと伝えられる楠の巨木もあり、和歌山県の天然記念物に指定。
那智の滝を一番近く、真正面で拝観できるお滝拝所舞台もありますが、参入料が必要です。
熊野三山では、熊野本宮大社(田辺市)、熊野速玉大社(新宮市)、そして青岸渡寺、那智の滝(那智大滝)、那智原始林、補陀洛山寺とともに世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の構成資産になっています。
熊野那智大社 | |
名称 | 熊野那智大社/くまのなちたいしゃ Kumano Nachi Taisha Grand Shrine |
所在地 | 和歌山県東牟婁郡那智勝浦町那智山25 |
関連HP | 熊野那智大社公式ホームページ |
電車・バスで | JR紀伊勝浦駅から熊野交通バス那智駅経由那智山行きで28分、神社・お寺前駐車場下車、徒歩15分 |
ドライブで | 阪和自動車道南紀田辺ICから約106km |
駐車場 | 神社お寺前駐車場(30台/神社防災道路通行料が必要) |
問い合わせ | 熊野那智大社 TEL:0735-55-0321/FAX:0735-55-0643 |
掲載の内容は取材時のものです、最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
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