池田さんのルーツを探せ!

大姓25位の池田さんは、全国に46万人ほど暮らしていて、人口に占める割合は0.36%ほど。新幹線「のぞみ」で声をかければ、4人〜5人は「はい!」と返事する計算です。そんな池田さんは、文字通りの池に田んぼという地形姓(地名姓)。諸国の池田荘、池田郷といった地名から生まれているのです。

古代に遡ると池田さんはちょっと複雑

古代の池田氏は、和泉国和泉郡池田郷に景光天皇(けいこうてんのう=日本武尊の父)の後裔・池田首(いけだおびと)が起こり、各地に広がったといわれています。

一方、上野国那波(なわ)郡池田を発祥とする池田氏は池田君(いけだのきみ)から起こり、美濃国土岐郡池田(岐阜県多治見市池田町)を発祥とする池田氏は清和源氏頼光流土岐氏族、摂津国豊島(てしま)郡池田(大阪府池田市)を発祥とする池田氏は紀氏流橘氏族で、安芸国の池田氏は摂津国池田氏の一族とか。

そして、楠木正成に繋がる備前岡山・伯耆鳥取両藩主の池田氏は「菊水」を家紋とし、さらに、近江国佐々木氏の一族や尾張国尾藤氏の一族にも池田氏が。

頭がくらくらするほど、池田さんは全国にルーツがあることに。

池田さんのルーツの一番手は大阪府池田市

そんな池田さんの中で、もっとも著名なのが摂津国の池田さん。
摂津国の池田氏は室町時代に摂津池田城を本拠として活躍。

永禄11年(1568年)、織田信長が上洛すると、他の国人や大名が次々と降伏する中で、摂津池田城主・池田勝正(いけだかつまさ)だけは敢然と抵抗、ついに城下町を焼かれ降伏しています。
これが信長上洛時の畿内最後の抵抗となりました。

大阪府池田市城山町にある摂津池田城の城跡のうち、主郭部分は池田城跡公園として整備され、天守(模擬櫓台)や門(模擬大手門)などが建てられて、往時を偲ばせてくれます。
城跡の北方にある池田氏の菩提寺・大広寺(曹洞宗)には、最後の池田城主・池田知正の墓碑など、歴代の池田氏の墓があります。

池田城跡公園

池田城跡公園

大阪府池田市城山町にある中世の城跡を公園化したのが池田城跡公園。室町時代から戦国時代にかけて旧豊島郡(現池田、豊中、箕面市周辺)を支配していた池田城主・池田氏の居城跡を整備して歴史公園としたもの。池田市で唯一の池泉回遊式庭園も整備され、城郭

続いて大名池田氏の出身地、多治見市池田町へ

また、奇しくも同じく織田家に縁がある池田恒興(いけだつねおき=尾張犬山城主、摂津兵庫城主、美濃大垣城主。母の養徳院は織田信長の乳母)や、その次男で姫路城を現在残る姿へ大規模に修築した池田輝政(いけだてるまさ)などは、もうひとつの大切なルーツ、美濃池田氏から出ています。

池田輝政自身は、永禄7年(1564年)、尾張国・清洲城下(現・愛知県清須市)に生まれていますが、そのルーツはお隣の美濃国。
池田輝政の孫の池田光政は、藩政改革を進めた名君としても有名です。

大名家・池田さんのルーツ、美濃国土岐郡池田は、現在の岐阜県多治見市池田町。
池田不動神社・池田真徳稲荷神社(いけだしんとくいなりじんじゃ)あたりが池田恒興の美濃池田城跡と推測され、土塁、曲輪、五輪塔7基が残されています。

この美濃国との大名家・池田家の関係は、史料に乏しく、不確実な要素が多いのが残念。
折衷案として、大大名となった池田さんゆかりの天下の名城・姫路城(姫路市本町)にはぜひ出掛けてみましょう。
姫路城の瓦紋はもちろん池田さんの家紋である揚羽蝶なのだから。

姫路城

日本の近世城郭のなかでも、築城当時の姿を残す唯一の存在といわれる姫路城。歴史は古く、1333(元弘3)年、播磨の守護職・赤松則村によって、砦が築かれたのが始まり。羽柴秀吉により、さらに池田輝政が現在の城郭を建築しました。天守群は国宝に、そし

日本平近くにも池田さんのルーツが

神社としては、静岡県静岡市駿河区池田の日本平へ向う道の南側に池田神社が鎮座しています。
池田神社は平安時代編纂の『延喜式神名帳』に駿河国有度郡池田神社と記される古社で(『神階帳』には正五位池田天神と記載)、ここも重要な池田さんのパワースポット。

江戸時代の明和年間(1764年~1767年)、大干ばつの際、境内を井戸を掘ったところ清水が湧き出し、村人を救ったという伝承があるので(その時掘ったという井戸が拝殿の北にあります)、やはり池田さんの面目躍如。
かつては境内に池があり、清水が湧いていたともいわれるので、日本平の山麓で、山裾から清水が湧く地だったと推測できます。

池田さんの代表家紋は、「揚羽蝶」

これを読んでいる池田さん、あなたの家の家紋は、ひょっとすると「揚羽蝶」ではありませんか?
池田さんは桓武平氏のシンボルマークだった「蝶」が代表紋。
この紋は織田家から頂戴したもので、池田恒興が織田信長の遊び相手(「信長之遊相手」)として出入りしているうちに、織田信長の父・織田信秀(おだのぶひで)に気に入られて織田家の蝶紋が入った麻の裃(かみしも)を貰ったことに由来します。
裃を着用するとよく似合うと織田信秀にいわれたので、代々池田家では蝶を家紋にすることとなったのです。

というわけで、もし、あなたの家紋が揚羽蝶なら、先祖は大名家なのかもしれません。

池田さんは地形姓(地名姓)だけあって、それほど偏りもなく全国に広く分布していますが、九州にやや多いく、佐賀県(大姓6位)と鹿児島県(8位)がベストテン入り。

家紋は代表紋が蝶。
大名へと上り詰めた土岐氏族は揚羽蝶、橘氏族は横木瓜、佐々木氏流は目結、紀氏流は輪蝶、三つ笹竜胆、菊水、祇園守、竜胆など。

取材・編集協力/札場靖人(家紋と姓名研究家)人口に関するデータは明治安田生命全国同姓調査による(2018年7月)推計値です

掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。

あなたのルーツはどこの誰!? 大姓21位〜25位【山崎・中島・森・阿部・池田】

山崎さん、中島さん、森さん、池田さんは典型的な地形姓(地名姓)で全国の同名の荘園、郷などに暮らす祖先がルーツという例が多いので、全国に散らばる傾向に。山崎さんは、東日本では「ヤマザキ」ですが、西日本では「ヤマサキ」と濁らないで呼ぶことが多い

山崎さんのルーツを探せ!

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石井さんのルーツを探せ!

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