森さんのルーツを探せ!

森さんのなかでもっとも有名人は誰だろう?
「森鷗外でしょ」と答える人が多いだろうが、「森蘭丸が一番有名だよ」と考える年配の人もいるだろう。
国民栄誉賞の森光子は、本名・村上美津なので対象外。歌手の森進一も本名は森内一寛。ついでに森昌子も森田昌子。
森姓は「かっこいい」イメージがあるのだろうか?

気を取り直して先に進むと、
オペラ歌手でタレントの森公美子は、宮城県仙台市出身。父親のルーツは青森県だ。
森泉の祖母・ファッションデザイナーの森英恵は、島根県鹿足郡六日市町(現在の吉賀町)出身。
元SMAPで川口オートレース場で活躍の森且行(もりかつゆき)は、東京都生まれ。

森さんなら真っ先に訪れたいのは厚木市

森姓は各地にあるが、一番有名なルーツは森蘭丸を出した相模国の森氏であろう。
その発祥は、相模国愛甲郡森(毛利)の清和源氏義家流で、義家の子の義隆が同地に住んで森冠者(かじゃ)と称したことに始まるという。
その現在の住所が厚木市毛利台。一帯は近世には南毛利村、中世以前は毛利庄といった。
『厚木市史』によれば頼朝に重用された大江広元は下毛利庄を領有しており、その子は毛利庄を本貫として毛利季光を名乗ったという。

「本能寺の変」にも登場の森蘭

戦国時代に、美濃国に土着したこの一族の活躍には目覚しいものがあった。
織田信長に仕えた森可成(もりよそなり)は、信長の天下統一に向けた戦いで戦功を挙げ、やがて美濃国金山城の城主となる。
が、浅井・朝倉連合軍との熾烈を極めた戦いで森可成とその嫡男である森可隆(もりよしたか)は討死。跡を継いだ鬼武蔵の異名をとる次男の森長可(もりながよし)は、本能寺の変の時、信濃国川中島城主であったという。
岐阜県可児市兼山にある美濃金山城跡は、織田信長が美濃国を領有すると1565(永禄8)年に家臣の森可成が城主となり、烏峰城を金山城に改めている。
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この本能寺の変が、信長だけでなく森一族にも大きな傷を与えた。長可の次弟が長定で、彼こそ織田信長の小姓・森蘭丸その人。
森蘭丸は弟の長隆(坊丸)、長氏(力丸)とともに本能寺で散った。
時代劇で描かれる本能寺の変では、必ず織田信長に寄り添う美青年がいるが、これが森蘭丸だ。
蘭丸に続いて、長可も2年後に家康と戦った小牧・長久手の戦いで秀吉側の武将として討死している。

家督を継いだ六男・森忠政は美作の津山城主(18万6000石)となるのだが、やがて津山藩の森家は跡継ぎがなく廃絶。
このとき津山城の受け取りに行ったのが赤穂藩家老の大石内蔵助であったという。その後、森家はわずか2万石で播州赤穂藩に転じた。

滋賀県も森さんのルーツのひとつ

他流の森氏のことも少し述べておけば、相模国の森氏と同じ相模国愛甲郡森(毛利)を発祥とする大江流の毛利氏がいる(森氏と毛利氏は同族である)。近江国愛智郡(えちぐん/現在の東近江市なまず江町)森を発祥とする佐々木氏流、また戦国時代には土佐、阿波、讃岐でそれぞれの森氏が水軍などを率いて活躍した。さらに、賀茂県主から出た上賀茂神社の神主、伏見稲荷神社の社家、駿河国草薙神社の社家など多彩。
滋賀県東近江市なまず江町の専修院は森備前守の開基と伝えられる。
近くの鯰江城遺跡は、森村の土豪・森氏が築いた居館のあったと伝えられる場所。中世には織田信長と近江勢力との激突の地となり、六角氏が滅亡している(元亀争乱)。

森さんに関連する各地の城は、関ヶ原の戦いの後に森氏の居城となった海津城(長野市松代町松代)、下呂の森城(下呂市小川)、そして前出の美濃金山城(可児市兼山字古城山)。
森蘭丸は前述の金山城生まれ、森家菩提寺の可成寺(かじょうじ)には森蘭丸兄弟の墓が祀られている。蘭丸ふる里の森などというものもあり、春には千本桜が咲き乱れるとか。

桜といえば、西日本屈指の桜の名所で、初代藩主・森忠政が13年の歳月をかけて築いた津山城跡(津山市山下)の、45mもある石垣に散る桜はそれは見事なもの。石段を彩る桜の雲、通り抜ける風が桜の海を波のように揺らしている。森一族の次々と続く討死を哀れむかのように、桜は石垣にはらはらと散るのだ。

森鷗外は島根県津和野出身

最後だが、森鷗外(森林太郎)は清和源氏の石見の森氏で、森鷗外の故郷・津和野は、関ヶ原の戦いまでは森氏と同族の毛利氏領であったことも面白い。
島根県津和野町町田には森鴎外旧宅・森鴎外記念館もあるので、鷗外ファンならずとも森さんならぜひ訪ねたい場所だ。
津和野の森家は代々津和野藩主、亀井家の御典医を務めた名家。
森と毛利が同族というのは、713(和銅6)年、元明天皇は「二字佳名の詔」を出す。木の国は紀伊国に、泉の国は和泉国、和(やまと)の国は大和国と1文字が2文字となった。
これで、本来は神社の森を意味する、森姓から毛利や毛里が派生した。
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森姓は、徳島で大姓4位、香川で6位、長崎8位、三重9位、中国、四国を中心に広く分布し、東北はやや少ない。

森氏の代表紋は鶴の丸。その他、向い鶴、五三桐、十文字、根笹、桧扇、亀甲、銀杏(ぎんなん)、十六弁菊花、鳳凰丸、森の文字、毛利の沢瀉など。ちなみに、森蘭丸の家紋は鶴の丸、森鷗外家の家紋は、柏の変り紋である「乱れ追い重ね九枚」である。

 

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