青龍寺(四国八十八ヶ所霊場第36番札所)

804(延暦23)年、遣唐使の一員として唐に渡った空海(弘法大師)は長安の青龍寺で恵果阿闍梨(けいかあじゃり)に真言密教の教えを受けます。帰国した空海は横浪半島の先端の山上(現・土佐市)に一宇を建立して不動明王を安置。それが青龍寺(しょうりゅうじ/四国八十八ヶ所霊場第36番札所)の始まりです。

海上安全を祈願した絵馬が数多く並ぶ

青龍寺は、中世に衰退するも土佐藩主・山内家の尊崇を受け正保年間(1644〜1648年)に再興。
宝永4年10月4日(1707年10月28日)の宝永地震(連動型の超巨大地震)とその津波で被害を受けますが、江戸末期に再建されています。

本堂、大師堂、薬師堂が一直線に並ぶのは唐・長安の青龍寺を模したもの。

本尊の波切不動明王(秘仏)は、空海が唐から帰国する途中で嵐に遭った際に波切不動明王が現れて波を切り開いたといわれ、その時に見た不動明王をかたどったため波切不動明王といわれ漁業関係者の信仰を集めています。
鎌倉時代の作とされる愛染明王像とともに国の重要文化財。

仁王門を入ると滝があり、ここが修験者の行場になっています。
120段余りの石段を上りつめたところが本堂。
本堂の軒下には海上安全を祈願した船を描いた船絵馬が数多く並びますが、現在でも地元の遠洋漁業の船乗りは出港の前、船長以下全員が青龍寺へ参詣して、海上安全の祈願する習わしがあります。

リアス式海岸の続く高知県ですが、横浪半島の先端の山上に位置する青龍寺へはかつては大きく奥深い浦ノ内湾が立ちはだかっていました。
そこで「宇佐の渡し」(「竜の渡し」)を利用したのですが、昭和49年に宇佐大橋が完成し、往時のような渡し船による船旅参詣を楽しむことはできなくなりました。
空海が青龍寺を開いた時には8人の船頭が案内したと伝えられ、渡し船の運航もその子孫が代々守っていたのです。

霊場間の距離・時間

35番札所・清滝寺(高知県土佐市高岡町丁) — (18km/50分) — 36番札所・青龍寺(高知県土佐市宇佐町竜) — (50km/1時間30分) — 37番札所・岩本寺(高知県高岡郡四万十町茂串町)


取材・画像協力/(公財)高知県観光コンベンション協会

青龍寺(四国八十八ヶ所霊場第36番札所)
名称青龍寺(四国八十八ヶ所霊場第36番札所)/しょうりゅうじ
Temple 36: Shouryuji
所在地高知県土佐市宇佐町竜163
関連HP四国八十八ヶ所霊場会公式ホームページ
電車・バスでJR高知駅から県交通バス宇佐方面行きで1時間、宇佐大橋下車、徒歩40分
ドライブで高知自動車道土佐ICから約12km
駐車場20台/無料、近くに有料駐車場(30台)
問い合わせ青龍寺 TEL:088‐856‐3010
掲載の内容は取材時のものです、最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。
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