四国の水源地に位置し、「天空の郷」としてPRする高知県長岡郡本山町にある7haほどの棚田が、吉延の棚田(よしのぶのたなだ)。本山町中心地から車でわずかに10分ほど走ると、吉延の棚田、そして樫ノ川(かしのがわ/吉野川の支流)を挟んだ隣接の大石の棚田が眺望できるビューポイントがあります。
棚田米「土佐天空の郷」を産する美しい棚田
高知県では馬路村(うまじむら)とともに「日本で最も美しい村連合」にも加盟する本山町。
面積の91%が森林ですが、山間に180haの水田が耕作され、美しい棚田風景を生み出しています。
吉野川上流の支流を水源とする棚田は、急峻すぎるという地理的条件から、水利整備や圃場整備(ほじょうせいび=耕地区画の整備、用排水路の整備、農場の整備)が進まない昔のままの棚田が残されています。
圃場整備が進むと、棚田の畦(あぜ=区分けする盛土)や、内部の農道が直線化しますが、吉延の棚田、大石の棚田は、旧来の姿が残され、うねうねとした曲線が美しい景観を生んでいるのです。
全国各地の旧来型の棚田では、劣悪な農作業の環境から、耕作放棄されるケースも増えていますが、吉延の棚田では今も20戸以上が吉延営農組合を組織して営農し、棚田米「土佐天空の郷」(とさてんくうのさと)を生産。
『第13回お米日本一コンテストinしずおか(米コン2016)』で、本山町農業公社の出品した棚田米(品種:にこまる)が、最優秀の実行委員会会長賞(特別最高金賞)と品種賞をダブル受賞。
新潟県の魚沼米(コシヒカリ)に対し、「西の魚沼」とまで称されるようになり、「土佐天空の郷」としてブランド化されているのです。
栽培される品種はもっちり甘く、しっかりとした食感が特徴の「ヒノヒカリ」、もちもち食感と甘みが身上の「にこまる」で、本山町市街地にある直売所「本山さくら市」などで購入でき、「本山さくら市」に併設の「おむすび処 こめのみみ」ではおにぎりで味わうことが可能。
高知県道267号(上穴内本山線)が吉延の棚田のなかを走り、そこから細い農道に入った先に吉延田園アート展望台(駐車場あり)が設けられています。
吉延田園アート展望台のある場所で標高は430mほど。
吉延営農組合が平成26年頃から始めた、赤、白、黒、緑の葉っぱの稲を組み合わせて、田んぼに巨大な絵を描く「田んぼアート」を眺める高さ5mほどの展望台で、「田んぼアート」がない時期にも展望台としては絶好の場所です。
樫ノ川を隔てて対岸に位置する大石の棚田から吉延の棚田を俯瞰的に眺めるなら、大石の棚田にある大石展望台へ。
ただし、吉延の棚田と大石の棚田は目と鼻の先ですが、それを結ぶ道は狭路があるだけなので、いったん本山町市街地まで戻るのが賢明。
田に張った水に空と逆さまの白髪山(標高1470)が映るのは5月上旬〜中旬頃。
田植えは6月で、収穫(稲刈り)は10月下旬頃行なわれています。
ちなみに吉延の棚田が「日本の棚田百選」に選定されていないのは、選定時の高知県の担当者などが、申請を怠ったというだけだと推測できます(というわけで熱心な県は選定の棚田の数が多い傾向にあり、逆に棚田の多いはずの高知県では梼原町の神在居の千枚田のみになっています)。
画像協力/土佐れいほく観光協議会
吉延の棚田 | |
名称 | 吉延の棚田/よしのぶのたなだ |
所在地 | 高知県長岡郡本山町吉延 |
ドライブで | 高知自動車道大豊ICから約12km |
駐車場 | 吉延田園アート展望台駐車場を利用 |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
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