筑後川昇開橋

筑後川昇開橋

佐賀県(佐賀市)と福岡県(大川市)の県境、筑後川に架かる旧国鉄の鉄道橋で国の重要文化財、そして機械遺産に認定されるのが筑後川昇開橋。昭和10年に国鉄佐賀線の鉄道橋として完成し、昭和62年の佐賀線廃止とともに現役を退きました。平成8年に筑後川昇開橋遊歩道として再生され、橋の両端には公園が整備されています。

九州一の大河、筑後川に架かる昇降式可動鉄橋

筑後川昇開橋

橋の長さは506.4m、昇開部は24.2m、24.2mの可動桁は高さ30mの吊上塔(鉄塔)の滑車で23mの高さまで引き上げることができ、800t級の大型船舶の航行に対応可能な可動橋でした。

頻繁に行き交う大型船の航行を妨げず、かつ最大6mという干満の差がある有明海の影響で常に変化する水面に対応するための解決策として造られたものです。

建設を指揮したのは鉄道省の技師・釘宮磐(くぎみやいわお/鉄道省熊本建設事務所長)。
橋を昇降させるというアイデアは、橋の設計を担当した鉄道省の技官・坂本種芳(さかもとたねよし)が発案。
橋の中央部24mの橋桁を左右のタワーに沿って線路ごと垂直に持ち上げて船を通し、列車が来たらその橋桁を元の位置に下ろして通すという、大胆な仕組み。
両サイドに各20tの2つのウエイトを吊るし、片側8tの平衡ウェイトで水平を保ちながら巻き上げるという少ない動力で動く仕掛けになっています。

実は、この坂本種芳は、世界的なマジシャンでもあり、まさに「マジシャンの発想」があったのです(後日「「新しいトリックで人を驚かすことが好きで、そんな心理が昇開橋設計にはたらいた」と語っています」)。
昭和10年5月25日に鉄道省佐賀線の開業とともに利用が始まり、竣工当時は「東洋一の可動式鉄橋」と喧伝(けんでん)されています。

昭和12年の『パリ万国博覧会』(Expositions universelles de Paris/テーマは「近代生活における芸術と技術」)では、日本の科学技術を代表する作品として、この橋の精巧模型が出品されています。

昭和62年、佐賀線は廃線となり、橋は地域の観光の目玉として遊歩道に変身。
さらに橋のたもと一帯も、筑後川昇開展望公園として整備され、遊歩道へと通じています。

鉄道輸送時代の終焉とともに閉鎖されましたが、現在は「タワーブリッジ遊歩」という遊歩道として、9:00〜16:30の間可動桁が降ろされ(月曜休、月曜が祝日の場合は火曜休)、佐賀市と対岸の福岡県大川市を結んで歩くことができます。
可動桁が降りていない時も遊歩道は開放されており(12月〜2月を除く)、橋の中央部まで行くことができます。
夜間(日没〜22:00に)はLED灯でライトアップされ、被写体としても人気。

なお、ペット連れの通行は不可。
自転車の場合も降りて押して歩くことになります。

ちなみに、日本国内の鉄道可動橋は清水港線(静岡県)にも巴川鉄橋がありましたが、清水港線の廃止で撤去されています。
三重県四日市市の千歳運河にかかる末広橋梁は、日本国内では現役唯一の跳開式可動鉄道橋です。

筑後川昇開橋
筑後川昇開橋
筑後川昇開橋
筑後川昇開橋
名称筑後川昇開橋/ちくごがわしょうかいきょう
Chikugo River Lift bridge
所在地佐賀県佐賀市諸富町為重・福岡県大川市向島
関連HP筑後川昇開橋観光財団公式ホームページ
電車・バスでJR佐賀駅から佐賀市営バス早津江行きで25分、石塚下車、徒歩3分
ドライブで九州自動車道みやま柳川ICから約18.3km。または、長崎自動車道東脊振ICから約18.3km
駐車場橋の駅ドロンパ駐車場(21台)など利用
問い合わせ筑後川昇開橋観光財団 TEL:0944-87-9919
掲載の内容は取材時のものです、最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。
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