平安古の鍵曲

平安古の鍵曲

山口県萩市、萩城の城下で、中級・下級武士が暮らしていたのが平安古(ひやこ)地区。4.0haが萩市平安古地区伝統的建造物群保存地区に指定され、土塀と武家屋敷が建ち並んでいます。注目は玉江橋の東南に見られる大児玉横丁の鍵曲(かいまがり)と呼ばれる直角に屈折する道でこれが平安古の鍵曲(ひやこのかいまがり)。

「遠見遮断」の効果も体感

道を鉤型(かぎがた)にした独特の道路で、まっすぐの道が直角に交差し、道の両脇には延々と高い土塀が続いています。
わざと見通しが効かないようにして(「遠見遮断」、あるいは「前方遮断」と呼んでいます)、敵の侵入を防ぐという藩政時代の防御の仕組み。
近世の城下町では、商都としての性格から考えると道路は碁盤の目のように直交するのが効率的ですが、城下町の外郭部分に寺町を配し、城の近くの道路は鍵曲などを利用して防御策としていたのです。

藩政時代、堀内地区(萩城の三の丸)に屋敷を構えていた萩藩の重臣たちは、堀内が手狭になったことから新たに堀の外側にある本来は中級・下級武士の居住地区である平安古地区に下屋敷を構えました。
その際に、こうした高い土塀の鍵曲が完成したのです。

まるで迷路に迷い込むようで堀内地区・追廻し筋の鍵曲(堀内鍵曲)とともに、萩城下町を代表する景観になっています。
5月上旬~中旬頃には夏みかん(ナツダイダイ)の白い花を咲かせ(夏みかんの花の香りは、環境省の「かおり風景100選」選定)、冬から春には平安古の土塀越しに黄色い実がたわわに実ります。

萩の夏みかんは、明治9年、小藩高政(おばたたかまさ)が明治維新で困窮する士族たちを救うために栽培を開始したもので(「明治9年、夏橙ヲ萩ノ物産トスルコトヲ主唱シ、同志を募リテソノ栽培ヲ奨励ス。ソノ団結ヲ耐久社トイフ」)、空き地となった武家屋敷がみかん畑に変身。
平安古の鍵曲に隣接する「かんきつ公園」には、夏みかん100本をはじめとする柑橘類10種380本が植栽されているので、城下町散策の際にはぜひ寄り道を。

平安古の鍵曲
名称 平安古の鍵曲/ひやこのかいまがり
所在地 山口県萩市平安古町
関連HP 萩市観光協会公式ホームページ
電車・バスで JR玉江駅から徒歩15分。またはJR玉江駅から萩循環まぁーるバス西回りで5分、平安古南団地前下車、徒歩3分
ドライブで 中国自動車道山口ICから約44kmで中央公園駐車場
駐車場 中央公園駐車場(146台/有料)
問い合わせ 萩市文化財保護課 TEL:0838-25-3299
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。
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