古代から拓けた群馬県富岡市一ノ宮にある古社で上野国一之宮が一之宮貫前神社(いちのみやぬきさきじんじゃ)。祭神は葦原中国(あしはらのなかつくに=日本のこと)平定に功績があった経津主神と比売大神(ひめおおかみ)。比売大神は、綾女庄(富岡市一ノ宮地方の古称)養蚕機織の神ともいわれています。
上野国一之宮で現存する社殿は国の重文
社伝によれば鷺宮(さぎのみや=現・安中市)に物部姓磯部氏が、氏神である経津主神(ふつぬしのかみ)を祀り、その南方、蓬ヶ丘(よもぎがおか)の北、綾女谷(あやめがたに)を切り開いて安閑天皇元年(531年)、社を創建したとのこと。
7世紀後半、天武天皇の時代にはすでに奉幣(ほうべい=天皇の命により神社などに幣帛を奉献すること)が行なわれています。
南向きに建つ社殿へは蓬ヶ丘を登り、「くだり参道」と呼ばれる石段を下って参拝する仕組み。
現存する社殿は、3代将軍・徳川家光の命で、寛永12年(1635年)の築。
日光東照宮にも似た装飾を配した本殿、拝殿、楼門は国の重要文化財に指定されています。
極彩色の漆が塗られたのは、元禄11年(1698年)、5代将軍・徳川綱吉による大規模な修理で。
不明門(あかずのもん)は、朱雀天皇時代(930年~946年)の勅使参向の折に創建されたと伝えられ、現在では春秋の『御戸開祭』(みとびらきさい=3月14日・12月12日)と『流鏑馬祭』(4月15日)で1年に3回開門されています。
式年遷宮は、申年の12月12日に『仮殿遷座祭』、酉年の3月13日に『本殿遷座祭』を斎行。
宝物として保存された鏡のうち、「白銅月宮鑑」、「梅雀文様鏡」、「竹虎文様鏡」の3面が国の重要文化財で宝物館に収蔵されています。
推定樹齢1200年という巨杉は、藤原秀郷(ふじわらのひでさと=俵藤太の百足退治の説話で有名)が平将門討伐の際に戦勝祈願として年齢と同じ36本の杉を奉納したうちの1本とされ、藤太杉と呼ばれています。
スダジイ、イチョウの巨木も富岡の名木10選に数えられています。
上毛かるたでは、「ゆ」の札で「ゆかりは古し 貫前神社」と読まれ、群馬県民なら誰でも知っている神社です。
上野国の総社は、総社神社 (群馬県前橋市元総社町)、一之宮が一之宮貫前神社、二之宮は二宮赤城神社 (前橋市)、三之宮が三宮神社 (北群馬郡吉岡町)です。
以下、四之宮・甲波宿禰神社 (渋川市)、五之宮・若伊香保神社 (渋川市)、六之宮・榛名神社 (高崎市)、七之宮・小祝神社 (高崎市)、八之宮・火雷神社 (佐波郡玉村町)、九之宮・倭文神社 (伊勢崎市)で、九之宮まで定められていました。
一之宮貫前神社 | |
名称 | 一之宮貫前神社/いちのみやぬきさきじんじゃ |
所在地 | 群馬県富岡市一ノ宮1535 |
関連HP | 一之宮貫前神社公式ホームページ |
電車・バスで | 上信電鉄上信線上州一ノ宮駅から徒歩15分、JR松井田駅または上信線上州富岡駅から富岡市観光乗合タクシーの利用も可能 |
ドライブで | 上信越自動車道下仁田ICから約5km、富岡ICから約6km |
駐車場 | 参拝者専用駐車場を利用 |
問い合わせ | 一之宮貫前神社社務所 TEL:0274-62-2009 |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
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