岡田さんのルーツを探せ!

大姓33位の岡田さんは、32位の長谷川さんと同じで、全国に38万人ほどが暮らし、国民の0.30%ほど。つまりは新幹線「のぞみ」1編成なら3人以上は岡田さんが乗車している計算に。岡(丘)の上の田という意味の地形姓なので、丘の上に田んぼがあれば「岡田さん発祥」の可能性があるということに。

栃木市には豪商・岡田家があり、邸宅は記念館に

岡田記念館
岡田記念館

丘の上に田んぼを拓いた開拓魂からなのか、岡田さんにはなぜか名家が多い。

富山城下の中野新町の豪商・岡田家は、岡田屋を号して米穀商や金融業を営んで繁栄。
北陸では能登国珠洲郡片岩村(珠洲市)にも旧家の岡田家があります。

伊勢国四日市(三重県四日市市)の旧家の岡田家。
この四日市岡田家の7代目当主がイオンの創業者・岡田卓也(おかだたくや)。
イオングループを日本を代表する小売業にまで育て上げました。
衆議院議員・岡田克也は次男です。

関東では、下野国都賀郡栃木(栃木県栃木市)の豪商・岡田家(岡田嘉右衛門)が有名。
舟運で栄えた栃木ですが、江戸時代初期に新田を開拓、栃木宿の本陣を営み、名主も務めたその屋敷は「岡田記念館」となっていて見学も可能です。

この栃木市の岡田家(岡田嘉右衛門)は、相模国高座郡岡田(神奈川県高座郡寒川町岡田)が発祥で、当主は代々嘉右衛門を襲名しています(家伝では京都三条の出で、江戸時代慶長の頃、下野国に帰農したとのこと)。

もちろん現在の岡田家にも第26代の「岡田嘉右衛門」の表札がかかっていて、この地が当主の名を取って嘉右衛門新田(現嘉右衛門町)と呼ばれていることにも納得。

元禄元年(1688年)から屋敷内に陣屋が設けられたほどの広い岡田家は、栃木の町並みとともに岡田さんなら一度は見学したい場所のひとつ。

神奈川県寒川町にもルーツが

さてさて、その栃木の名家・岡田家のルーツと目されるのが神奈川県高座郡寒川町岡田。
寒川町役場の東側に広がる岡田地区(東は茅ヶ崎市と隣接)が古代の岡田郷、近世の岡田村にあたる場所です。
東の丘陵は神奈川県立茅ヶ崎里山公園。
丘の上に田んぼがあっただろう里山的な雰囲気も残されています。

残念ながら岡田さん由来のものは見つかりませんが、菅谷神社(すがやじんじゃ)は、旧岡田村の鎮守。
一帯は古代から拓けた地だけに、岡田さんなら一度足を伸ばす価値があるでしょう。
また近世には大山街道田村道が通り、大山詣での旅人も往来した場所です。

福島県相馬市も岡田さんの重要なルーツ

相馬野馬追
相馬野馬追

栃木市と寒川町の後は、福島県南相馬市に足を延ばしていただこう。

勇壮な『相馬野馬追』(そうまのまおい)で知られる、福島県の浜通り、南相馬市小高では、まず相馬氏の一門筆頭である相馬岡田氏の館跡、岡田館(おかだだて)を見学しましょう。

高台に造られた館は、その遺構が、現在は相馬妙見宮・初発神社(しょはつじんじゃ)の境内になっています。
ここが相馬氏の家臣で、岡田胤顕を祖とする岡田氏代々の居城で岡田胤盛の代に相馬重胤(そうましげたね)とともに下総からこの地に移り、建武元年(1334年)、岡田館を築いたとされています。

岡田氏は相馬氏の重臣として代々岡田館を居城とし、慶長16年(1611年)、相馬中村城に移るまでこの地で栄えました。

相馬妙見宮・初発神社は、寛政3年(1791年)、妙見信仰の相馬藩が創建(相馬家では守護として妙見菩薩を信仰)。
境内西側に土塁が南北に設けられているのがわかります。

下総国豊田郡岡田を発祥とする桓武平氏千葉氏流相馬氏族の岡田氏は、相馬胤村(そうまたねむら)の二男・相馬胤顕(そうまつねあき)が陸奥国行方郡岡田村を与えられ、室町時代後期に相馬姓を改め岡田姓を名乗ったのだとか。

初発神社(岡田館跡)は、『相馬野馬追』をお目当てに、相馬中村城(福島県相馬市中村)の岡田神社(妙見神社)への参拝も含めて訪れたい場所となっています。

岡田さんのルーツは北九州にも

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北九州市の岡田宮

岡田と名の付く、岡田さんのルーツともいえる神社は、相馬中村城の岡田神社以外に、長野県松本市の岡田護国神社、 福岡県北九州市八幡西区黒崎地区の岡田宮(おかだぐう)などがあります。

北九州市の岡田宮は正式名は正式には岡田神社。
『古事記』に神武天皇が東征の折に逗留したと記載され、『日本書紀』にも神功皇后が岡田宮の八所神を奉祭したと記される古社で、古代には北部九州の要衝にあったことがよくわかります。
天・地・人の三ノ宮を有するのもいかにも古社らしいところ。

最寄り駅はJR黒崎駅ですが、岡田町に鎮座し、近くには岡田公園、北九州市岡田球場もあるからまさしく岡田さんのルーツ、パワースポットといえる社です。

岡田さんは田んぼ由来のため、西日本に多い

下総国の隣り常陸国(茨城県)も重要な岡田氏のルーツのひとつで、久慈郡岡田(現在の常陸太田市岡田町)を発祥とする清和源氏佐竹氏流の岡田氏がいます。

ほかに、信濃国筑摩郡岡田(現・長野市篠ノ井岡田)を発祥とする清和源氏義光流の岡田氏、伊予国伊予郡崗田郷を発祥とする河野氏族の岡田氏などがいます。

さらに、尾張国愛知郡の星崎城を本拠とする清和源氏山田氏流の岡田氏の分かれは美濃国に移り、のち徳川家康に仕えて5000石の旗本としてその名を残しています。

近世、近代の岡田村だけでも全国に40ヶ所近く、伊豆大島の岡田港も近世には岡田村だった地で、地形姓・岡田さんのルーツも全国に散らばっていることがわかります。

岡田さんは中国、四国に多く、広島県、香川県で大姓11位、徳島県で12位、兵庫県13位、奈良県15位などとなっています。
もともと古代に田んぼが築かれたのは西日本が中心なので、田の付く姓は西日本に多いのが特長です。

田中さん(大姓4位/西日本では1位)、吉田さん(11位/西日本7位)、山田さん(12位/西日本9位)、池田さん(25位)に次ぐのが岡田さん(33位)。
前田さん(34位)、藤田さん(37位)とほぼ同じくらいのシェア率となっています。

相馬岡田氏の家紋は亀甲に花菱、栃木市の岡田家は車前草(おおばこ)。
ほかに岡田氏の家紋は、州浜、三つ鱗、三本扇、方喰(かたばみ)桔梗、桐、蛇の目、五枚笹、十曜、繋ぎ五つ星、久留子など。

取材・編集協力/札場靖人(家紋と姓名研究家)
人口に関するデータは明治安田生命全国同姓調査による(2018年7月)推計値です

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掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。

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