前田さんのルーツを探せ!

犀川と浅野川に挟まれた加賀百万石の金沢は、かつての城下町の姿をそのまま今に伝えている。
代々の藩主である前田氏が愛した名勝兼六園、前田家代々の墓が並ぶ野田山、前田利家を祀る尾山神社(「梅鉢紋」)、前田利常の正室珠姫を祀る天徳院(「梅鉢紋」)、前田家ゆかりの美術工芸品が展示される成巽閣(せいそんかく)、菅原道真などを祀る金沢神社(「梅鉢紋」)、徳川家康を祀る尾崎神社(「葵紋」)、寺の門に「梅鉢」を記す妙立寺など、前田氏と梅鉢紋にすっぽりと囲まれた金沢である。

加賀百万石の前田家のルーツは名古屋に

前田利家とまつを祀る尾山神社。つまりは『利家とまつ』ゆかりの地。2代の前田利長の創建だが、幕府の目を気にして当初は守護神としていた物部八幡宮と榊葉神明宮を遷座する名目で、卯辰山麓に社殿を建立している。前田さんならこの尾山神社はぜひ参拝したい社のひとつ。

尾山神社(金沢市)

尾山神社(金沢市)

さてさて、前田さんのルーツを古代まで遡ってみよう。
古代氏族には、文徳天皇(9世紀)の頃、筑前国前座郡(福岡県朝倉市)に前田臣(まえだおみ)があり、摂津国西須磨(現在の兵庫県神戸市)には橘姓の前田氏が出たが、なんといっても前述の加賀の前田氏が有名だ。
加賀前田家は菅原道真の後裔といわれるが、前田氏が菅原氏を称するようになったのは江戸時代初期で、それまでは平氏やら源氏を称したりしている。
前田氏の発祥の地には2説あり、ひとつが尾張国海東(かいとう)郡前田説ともう一方が美濃国安八(あんぱち)郡前田説(岐阜県安八郡神戸町前田)。残念ながら神戸(ごうど)町には前田家ゆかりの史跡がまるでなく、仮に美濃から尾張に出てきたとしても裏付ける史料がない。
いずれにしろ、前田利家の父・前田利昌(まえだとしまさ)は尾張の荒子(あらこ)城主になっている(前田家には前田利昌以前の史料がまるで残されていない)。名古屋市中村区の荒子城は前田利家の生誕地とされているが前田城址との説もありこれも定かでない。
尾張国海東郡前田(名古屋市中川区前田西町)の速念寺はかつての前田城址といわれ、山門横と境内奥に碑が立っている。また、近くの名古屋市中川区荒子町には前出の荒子城跡があり「前田利家卿誕生之遺址」の碑が立っている。さらに、あおなみ線荒子駅前にも前田利家公初陣之像が建てられている。
名古屋市民にあまり人気のない前田利家だが、荒子周辺ではさすがに出身の地だけあって人気があるようだ。史跡からたどれば、やはり尾張国(現在の名古屋市中村区と中川区)が加賀前田家のルーツと考えていいだろう。

前が田んぼで前田姓が生まれた

前田利家は織田信長に従って活躍、豊臣政権においては五大老に列し、五大老筆頭の徳川家康に次ぐ地位を得て加賀国を与えられる。利家の後は長男の利長が継ぎ、徳川方についた関ヶ原合戦の後は、加賀・能登・越中3国119万石の大々名として北陸に君臨、一族でこの3国を幕末まで支配する。因みに、越中富山藩主前田正甫(まえだまさとし)は江戸城内で腹痛を起こした大名を正甫の持薬で治し、以来富山の薬は全国に名が知られることになったという。
家紋は菅原道真の後裔ということで梅鉢紋だが、それぞれの藩の梅鉢は芯の形や剣の長さが微妙に違っている。
一方、戦国時代織田氏に仕え、秀吉の五奉行の一人でもあった前田玄以(まえだげんい)は藤原北家利仁流の前田氏で、丹波亀山五万石を領している。家紋は橘という。

他の前田氏としては、讃岐国山田郡前田(高松市前田西町)を発祥とする十河氏の支流の前田氏、出羽大曲城(秋田県大仙市大曲)の小野寺氏支流の前田氏、薩摩国満家院前田(鹿児島市川田町前田)を発祥とする前田氏、大隈国東郷(鹿児島県薩摩川内市東郷町)を発祥とする桓武平氏の前田氏、藤原北家押小路(おしこうじ)流の前田氏などがいる。前の田んぼという地形由来の姓である場合も考えられ、ルーツは全国に散らばることに。しかも鹿児島県には前田という地名が結構あり、それが鹿児島県の前田さんのルーツだとも推測できる。

また、滋賀県蒲生郡安土町の安土城址に伝前田利家邸跡が、愛知県海部郡七宝町に前田利家の妻まつ(芳春院)の生家といわれる林氏日開常信(にっかいつねのぶ)家の屋敷跡がある。さらに、京都市北区紫野大徳寺町の大徳寺芳春院は、芳春院が建立した前田家の菩提寺で、本堂の芳春院の木像をはじめ、前田家歴代の御霊牌が祀られている。加賀大聖寺藩の藩主別荘であった長流亭(石川県加賀市大聖寺)は、国の重要文化財に指定されている。また、東大の赤門は、加賀藩前田家上屋敷の屋敷門であったことで有名だ。

前田姓は、鹿児島で大姓4位、和歌山と鳥取で5位、熊本8位、兵庫9位、長崎10位。東北と北関東には少ない。
代表家紋は梅鉢紋(梅鉢・剣梅鉢・星梅鉢)。他に、三階松、唐花、橘、剣六つ丁子、五七桐など。

 

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