大仙陵古墳(仁徳天皇陵)

大阪府堺市堺区大仙町にある日本最大の前方後円墳が大仙陵古墳(仁徳天皇陵)。百舌鳥古墳群(もずこふんぐん)の古墳で、北に位置する田出井山古墳、ミサンザイ古墳とともに、「百舌鳥耳原三陵(もずのはらさんりょう)」と呼ばれています。5世紀中頃に作られた墳墓と推測されていますが、詳しいことは分っていません。

墳丘長525m、謎も残される日本最大の前方後円墳

国土交通省 国土画像情報(カラー空中写真)を基に作成
堺市役所展望ロビーから眺めた大仙陵古墳

大仙陵古墳(仁徳天皇陵)は、現在、宮内庁によって仁徳天皇の陵墓として管理されており、陵号は百舌鳥耳原中陵(もずのみみはらのなかのみささぎ)。

全長525m(古墳最大長840m、最大幅654m、後円部直径249m・高さ35.8m、前方部幅307m・長さ237m・高さ33.9m)、総面積約46万平方メートルの規模を持つ三段に構成された墳丘で、内部は立ち入り禁止。
その全貌を見渡すには堺市役所展望ロビーに上るのがいちばん。

最も墳丘に近づける場所は正面の拝所で、二重濠の外側堰堤まで立ち入ることが可能です。

主墳の回りには15基ほどの陪塚が取り巻き、周囲には三重の濠が巡らされていて、その規模の大きさを表しています。

百舌鳥古墳群からは多数の埴輪(はにわ)が出土していますが、一帯は国内で最も埴輪生産が盛んでだった場所。
唯一確認されている窯跡は、北区百舌鳥梅町1丁の「百舌鳥梅町窯」(もずうめまちかまあと)で、5世紀中頃の築造と考えられることから大仙陵古墳の埴輪がここで焼かれた可能性もあります。
出土する百舌鳥古墳群の埴輪は、百舌鳥川沿いにあった多数の埴輪窯で焼成されたと推測されています。

周辺には宮内庁が指定・管理する陪塚(ばいづか)が12基

大仙陵古墳にもっとも接近できるのが正面の拝所

考古学的にはミサンザイ古墳(履中天皇陵・5世紀前半)→大仙陵古墳(仁徳天皇陵・5世紀中頃)→田出井山古墳(反正天皇陵・5世紀中頃)の順に造られたことが推定されており、16代・仁徳天皇→17代・履中天皇→18代・反正天皇という在位順との矛盾も生まれ、ミサンザイ古墳を仁徳天皇陵と考える研究者もいますが『延喜式』の記述と一致せず、確定していません。

486mの墳長は、大阪府羽曳野市の誉田御廟山古墳(応神天皇陵)の422mを凌ぎ日本一ですが体積では誉田御廟山古墳(応神天皇陵)が勝っています。

近親者や従者を葬ったとされる陪塚(ばいづか)は、宮内庁が指定・管理するものだけで12基。
坊主山(円墳/直径10m)、源衛門山(円墳/直径約40m)、大安寺山(円墳/直径55m)、茶山(円墳/直径55m)、永山(前方後円墳/墳丘長104m)、丸保山(帆立貝式/墳丘長87m)、菰山(帆立貝式/墳丘長36m)、樋の谷(円墳と推定/直径47m)、銅亀山(方墳/一辺26m)、狐山(円墳/直径23m)、竜佐山(帆立貝式/墳丘長67m)、孫太夫山(帆立貝式/墳丘長56m)。
墳丘長104mの前方後円墳である永山古墳、少し離れた坊主山は陪塚でない可能性もあります。

仁徳天皇の真陵はどこにある!?

百舌鳥古墳群空撮 Photo Map

『古事記』では、大雀命(おほさざきのみこと=仁徳天皇)は83歳で崩御したと記され、毛受之耳原(もずのみみはら)に陵墓があることになっています。

『日本書紀』には、仁徳天皇は87年(399年)正月に崩御し、同年10月に百舌鳥野陵(もずののみささぎ)に葬られたとしるされています。

平安時代編纂の『延喜式』諸陵寮には「百舌鳥耳原中陵。在和泉国大鳥郡。兆域東西八町。南北八町。陵戸五烟。」(仁徳天皇の陵は「百舌鳥耳原中陵」という名前で和泉国大鳥郡にあり、東西八町、南北八町の広大なもの)と記されています。

以上の記載から、現在まで大仙陵古墳(大山古墳)が仁徳天皇陵に比定されてきたのです。
また、仁徳天皇の皇居は、難波高津宮(なにわのたかつのみや)だったとされています。

それでも、大仙陵古墳が仁徳天皇陵だと断言はできません。
中央の仁徳天皇陵とされていた古墳よりも、南に位置する履中天皇陵(仁徳天皇の子が眠る)の方が年代が古いのでは、おかしいことになるからです。
近年では教科書での呼び名も「仁徳天皇陵」から「大仙陵古墳」に変わっているのです。

ちなみに、大仙陵古墳(仁徳天皇陵)を含む百舌鳥古墳群、誉田御廟山古墳(応神天皇陵)を含む古市古墳群が「百舌鳥・古市古墳群」として世界遺産に登録されています。

大仙陵古墳(仁徳天皇陵)
名称大仙陵古墳(仁徳天皇陵) /だいせんこふん(にんとくてんのうりょう)
Daisenryo-Kofun, the tomb of Emperor Nintoku
所在地大阪府堺市堺区大仙町7-1
関連HP堺市公式ホームページ
電車・バスでJR阪和線百舌鳥駅から徒歩5分。南海高野線・JR阪和線三国ヶ丘駅から徒歩5分。南海高野線堺東駅から南海バス田園線で15分、堺市博物館前下車、すぐ
ドライブで阪神高速15号堺線堺出口から約3km
駐車場大仙公園第1駐車場(127台/有料)・第2駐車場(149台/有料)・第3駐車場(98台/有料)
問い合わせ堺市文化観光局博物館学芸課 TEL:072-245-6201/FAX:072-245-6263
掲載の内容は取材時のものです、最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。
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