田村さんのルーツを探せ!

清水寺

田村という苗字は、「田圃(たんぼ)が広がる村」といういかにも日本的な意味で、田村姓は全国各地から生まれている。「じゃあ、田村を逆さにした村田さんはどういう意味なのか?」と考える人もいるかと思うのだが、「村の田圃」でたしかに共通点はある。最初に登場願うのは坂上田村麻呂(さかのうえのたむらまろ)だ。

まずは滝桜で有名な福島県三春町へ

坂上田村麻呂というと、坂上が名前か、田村が名前なのかと思うかもしれない。
しかし、平安時代の武官、坂上田村麻呂は、田村さんのルーツのひとりなのである。

──9世紀になったばかりの桓武天皇の頃、征夷大将軍・坂上田村麻呂は、まだ蝦夷の本拠地であった胆沢郡(いさわぐん/現・岩手県奥州市)を奪取したことによって征夷の英雄となった。
軍神と崇められ毘沙門天の化身と讃えられた。

この坂上田村麻呂の後裔(こうえい)が磐城国田村郡(現・福島県田村郡)を発祥とする坂上族の田村氏で、以下連綿と田村郡を領してきたとされる。
しかし、どうやら戦国期に田村地方を領した三春田村氏は平姓を称していたようで、いつのまにか系列が違う田村氏と入れ替わっていたらしい。
ともあれ、代表的な田村氏のルーツである福島県三春に出かけてみよう。

福島県田村郡三春町大町の三春城は、三春町のほぼ中心にある大志多山にあり、城山公園と呼ばれ遊歩道などが整備されている。
土塁や石垣の一部などが残り、本丸は急斜面をなす山頂にあり、三春の城下町や遠く吾妻・阿武隈・安達太良の山並みが見渡せる。

永正元年(1504年)、戦国大名田村義顕(よしあき)は三春郷に三春城を築いて移り住み、領内には俗に“田村四十八館”と呼ばれる支城や出城を構え要衝に一族一門を配した。
やがて、豊臣秀吉の「奥州仕置」により田村氏は改易・断絶となるが、伊達政宗の正室(愛姫)が田村家から出た事もあり、仙台藩伊達家の分家大名として再興される。

その裔は、松の廊下で刃傷事件を起こして切腹することになった浅野内匠頭を預かったことで知られる一関藩田村右京大夫である。
──田村氏の菩提寺である福聚寺は桜が美しく、田村氏の崇敬社で旧三春藩領内総鎮守の大元帥明王(田村大元神社)の仁王門は見事。

田村氏の菩提寺である福聚寺の見事な桜

清水寺は田村さんのパワースポット

さてさて、伝説的な人物となった坂上田村麻呂の生誕地は定かではなく、一説には平城京田村里(奈良市尼辻町付近)を比定している。
平城京左京四条二坊の東半部には藤原仲麻呂の邸宅「田村第」があったとされ、現在の奈良市四条大路1丁目にあたる場所(発掘調査が行なわれている)。
残念ながらそのあたりに田村さんのルーツらしき遺跡や神社などは存在していない。

他の田村氏としては、古くは山城国葛野郡田村(田邑)を発祥とする田村臣(たむらおみ)や大和国添上郡の田村村主(たむらすぐり)、さらに伊勢神宮の大中臣氏族、大友氏族、小笠原氏族、清和源氏頼親流、淡路島の神職の田村氏、武蔵国多摩郡田村を発祥とする武蔵七党日奏(ひまつり)姓西党の田村氏などが知られている。

──秩父市田村に田村屋敷、田村神社があり、淡路島の淡路市中村に郡家(ぐんげ)城跡(田村氏館)があり、四日市市西富田には弘法山田村寺があり、甲賀市土山町には田村神社がある。
また、都営三田線の御成門駅から西へいったところに、一関藩藩主田村右京太夫の浅野内匠頭長矩が切腹した上屋敷跡がある。

さらに、京都の清水寺を建立したのは坂上田村麻呂だという。
とすれば、清水寺も田村さんにとっては重要なパワースポットということに。
清水寺の入口の仁王門を入り、西門、三重塔、鐘楼、経堂、田村堂(開山堂)、朝倉堂などを経れば「清水の舞台」と呼ばれる本堂の威容が聳えている。

田村姓は東北、関東(群馬で大姓18位)、四国(高知で18位)に多い。
有名人では、戦前の映画俳優、歌舞伎役者として大活躍の阪東妻三郎(ばんどうつまさぶろう)は、本名が田村傳吉(たむらでんきち)。
東京府神田区(現・東京都千代田区)の生まれ。
田村正和ら、田村三兄弟はこの田村傳吉の息子である。

お笑いのロンドンブーツ1号2号の田村淳は、山口県下関市出身。
相方の田村亮は、大阪府高槻市出身。
柔道の谷亮子(田村亮子)は、福岡県福岡市の出身。

田村さんの代表家紋は、田村車前草(おおばこ)。
その他、田村竪引、剣梅鉢、亀甲に巴、竹に雀、鷹の羽、三つ巴、三つ引両、九曜など。

協力/札場靖人(家紋と姓名研究家)

 

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