鵜の岬ウミウ捕獲場

鵜の岬ウミウ捕獲場

茨城県日立市十王町、太平洋に突き出した鵜の岬(うのみさき)にあるのが、鵜の岬ウミウ捕獲場。歴史ある『ぎふ長良川鵜飼』など全国11ヶ所の鵜飼地へウミウを供給している日本でも唯一のウミウ捕獲場です。捕獲が行なわれない1月〜3月、7月〜9月のみ公開され、見学が可能です(雨天・荒天時は公開を中止)。

鵜飼で使われるウミウはすべて鵜の岬で捕獲

鵜の岬ウミウ捕獲場

ウミウは昭和22年、一般保護鳥に指定され、捕獲が禁止され、鵜の岬ウミウ捕獲場が唯一の捕獲場に。
鵜の岬は、渡り鳥であるウミウの休憩地で、春には北方へ、秋には南方へ向かうウミウがここで羽を休めるので、4月~6月、10月~12月がウミウの捕獲時期となるわけです。

公開期間中に、実際に捕獲するところは見学できませんが、捕獲者(日立市の無形民俗文化財に指定されているウミウ捕獲技術の保有者)から直接ウミウの生態や捕獲方法について話を聞くことができます。

捕獲場は、鵜の岬の海食崖の上、断崖絶壁にあるため、トンネルが掘られ、トンネルを抜けたところに鳥屋(とや)があるので、期待が高鳴るアプローチも楽しめます。
断崖の上には、予め捕らえてある囮(おとり)のウミウが配され、その囮に呼び寄せられ、ウミウがやってくるという仕掛け。

実際の捕獲は、鳥屋にある穴の部分から外を見て、下からカギ棒を出し、ウミウを捕まえるのです。
待ち伏せを基本とする古い狩猟で、質のよいウミウだけを見極めて捕獲。
捕獲したウミウを入れる籠も手作りされたものです。

近くには、宿泊利用率全国1位を誇る茨城県立国民宿舎「鵜の岬」、日帰り入浴施設「鵜来来の湯十王」があり、国民宿舎「鵜の岬」を基地にすれば、のんびりと探勝できます。

ウミウの捕獲技術を伝承する貴重な場所

もともとは、食用にするため、あるいは徒歩鵜漁(かちうりょう)用にウミウを捕獲する場所でしたが、大正時代以降は長良川など、各地の鵜飼用に提供されるようになっています。
捕獲場はかつて5ヶ所ありましたが、風雨や海食によ り次々に崩落し、昭和50年代には現在の鵜の岬ウミウ捕獲場1ヶ所になってしまい ました。
唯一残っていた捕獲場も平成15年6月に岩盤ごと崩落し、一度は姿を消しています。

その後、茨城県と日立市、鵜飼実施自治体とで協議が行なわれ、ウミウ捕獲継続性の確保を目的としたウミウ捕獲場再築及び捕獲技術保存協議会(現・ウミウ捕獲技術保存協議会)が平成16年2月に誕生し、断崖に新たにトンネルを掘削して捕獲場を設置したのです。
その鵜の岬ウミウ捕獲場も東日本大震災の際に、一部が崩落しましたが、捕獲者自身の手により、修復されています。

画像協力/茨城県

鵜の岬ウミウ捕獲場
名称 鵜の岬ウミウ捕獲場/うのみさきうみうほかくじょう
所在地 茨城県日立市十王町伊師640
関連HP 日立市観光物産協会公式ホームページ
電車・バスで JR十王駅からタクシーで10分
ドライブで 常磐自動車道日立北ICから約5km
問い合わせ 日立市観光物産課 TEL:0294-22-3111
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。
鵜飼 全国11ヶ所★完全ガイド

鵜飼 全国11ヶ所★完全ガイド

『日本書紀』や『古事記』に記される鵜飼(うかい)。国内で観光的に鵜飼が行なわれているのは、山梨県石和温泉から、大分県日田温泉まで全国11ヶ所。鵜を操る鵜匠(うしょう)を育てること、さらにはウミウを飼いならすことに時間がかかるため、伝統的な漁

笛吹川石和鵜飼・石和温泉鵜飼花火|笛吹市

笛吹川石和鵜飼・石和温泉鵜飼花火|笛吹市|2023

2023年7月20日(木)~8月17日(木)の水・木・土・日曜、山梨県笛吹市で『笛吹川石和鵜飼・石和温泉鵜飼花火』が開催されます。舟を使わない徒歩鵜(かちう)が行なわれるのは笛吹川と和歌山県・有田川(現在休止中)の2ヶ所だけで、笛吹市の夏の

木曽川うかい

木曽川うかい|犬山市

毎年6月1日~10月15日(8月10日を除く)、愛知県犬山市で『木曽川うかい』が行なわれます。「木曽川うかい」は愛知県犬山市と岐阜県各務原市の境界を流れる木曽川で行なわれる鵜飼い。鵜飼いというと岐阜市の長良川が有名ですが、実は隣の木曽川でも

ぎふ長良川鵜飼|岐阜市

毎年5月11日〜10月15日、岐阜県岐阜市の『ぎふ長良川鵜飼』が開催されます。国の重要無形民俗文化財にも指定される鵜飼。鵜飼休み(1日間)と増水時などの中止日を除いて毎日行なわれます。17:45から観覧船乗り場にて鵜匠による鵜飼説明があり、

小瀬鵜飼

小瀬鵜飼|関市

毎年5月11日〜10月15日(中秋の名月、増水時を除く)、岐阜県関市の長良川で小瀬鵜飼(おぜうかい)が開催されます。鵜飼というと岐阜市の『ぎふ長良川鵜飼』が有名ですが、小瀬鵜飼も長良川鵜飼と同じ皇室御用の鵜飼で、鵜匠の職名は「宮内庁式部職鵜

宇治川『鵜飼』(宇治川観光通船)

宇治川『鵜飼』(宇治川観光通船)|宇治市

毎年7月1日〜9月30日、京都府宇治市の宇治川で『鵜飼』(宇治川観光通船)が行なわれます。乗合船、貸切船ともに京都府立宇治公園中の島喜撰橋畔(宇治橋上流塔の島)で乗船。貸切船は、予約で食事も可能。乗合船は乗船・遊覧のみで予約も不要。17:0

嵐山『鵜飼』(嵐山通船)

嵐山『鵜飼』(嵐山通船)|京都市

毎年7月1日~9月23日、京都市の嵐山で『鵜飼』(嵐山通船)が行なわれます。嵐山の中心を流れる大堰川(おおいがわ)では、かがり火の中、古式漁法の鵜飼の見物が可能。貸切船なら屋台船の中で料理をいただくこともできます。宮廷鵜飼船(当日9:00〜

三次の鵜飼

三次の鵜飼|三次市

毎年6月1日〜9月10日、広島県三次市の馬洗川・江の川で『三次の鵜飼』が行なわれます。三次の夏の風物詩、鵜飼。広島県の無形民俗文化財にも指定される潜水して魚を捕まえる鵜の習性を利用した伝統漁法で、遊覧船から鵜匠の巧みな手さばきを眺めることが

錦帯橋の鵜飼

錦帯橋の鵜飼|岩国市

毎年6月1日~9月10日19:00~21:00、山口県岩国市で『錦帯橋の鵜飼』が行なわれます。寛永年間に始まったとも、もともと錦川にあった漁法ともいわれる夏の風物詩で、錦帯橋上流の錦川が舞台。一時中断していましたが、昭和27年に復興し、ライ

大洲のうかい

大洲のうかい|2023

2023年6月1日(木)〜9月20日(水)、愛媛県大洲市で『大洲のうかい』。大洲のうかいは昭和32年に観光事業の一つとして開始され、他地域には見られない「合わせ鵜飼い」という方法を採用しています。鵜匠の乗船した「鵜船」に見物客を乗せた「屋形

筑後川鵜飼

筑後川鵜飼(原鶴温泉)|朝倉市

毎年5月20日〜9月30日、福岡県朝倉市で『筑後川鵜飼』が行なわれます。毎年5月20日に筑後川の鮎漁が解禁され、鵜飼シーズンが始まります。7世紀の『隋書』に倭国の鵜飼いが記されていますが北九州で鵜飼が存続するのは筑後川だけ。江戸時代に始まっ

三隈川の鵜飼(日田温泉)

三隈川の鵜飼(日田温泉)|日田市

毎年5月20日〜10月31日、大分県日田市の日田温泉で『三隈川の鵜飼』が行なわれます。文禄3年(1594年)、日田を治めた豊臣秀吉の家臣・宮木長次郎が、岐阜城下から鵜匠を招いて三隈川で鵜飼をさせたことが始まりといわれています。幕府直轄の天領

 

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

Twitter でニッポン旅マガジンをフォローしよう!

よく読まれている記事

こちらもどうぞ