水戸の偕楽園(かいらくえん)、金沢の兼六園(けんろくえん)と並んで、「日本三名園」のひとつに数えられる岡山の後楽園。岡山藩主・池田綱政によって、14年もの歳月をかけて完成。造園当時は、岡山城の後に造られた園という意味で、「御後園」と呼ばれていました。元禄文化を代表する大名庭園のひとつで、国の特別名勝に指定されています。
岡山藩2代藩主・池田綱政が築いた大名庭園
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1687(貞享4)年、備前岡山藩2代藩主・池田綱政(いけだつなまさ)が、岡山郡代官・津田永忠(つだながただ)に命じて造園。
津田永忠は、後楽園の造園のほか、和意谷池田家墓所の総奉行、百間川を開削、閑谷学校建設、藩主の菩提寺となる曹源寺造営なども務め、藩の基盤整備に尽力しています。
1700(元禄13)年に完成した後楽園は、藩主静養の場、賓客接待の場として使われるため、園内には池を中心に藩主が賓客をもてなした延養亭(えんようてい)、能舞台や茶室、舟着き場なども設けられています。
ただし、幕府の力が絶大だった時代には、他藩の藩主を後楽園でもてなすことはできず、岡山城内で接待していたのだとか。
池泉回遊式庭園ですが、造園当初には武道修練のための馬場や弓場、さらには庶民の暮らしを知るための茶畑や田んぼなども造られていました。
庭の特徴としては、旭川の上流から引き入れられた水を用いて造りだされた池、滝など水の景色や、野芝を大量に使った芝と園路、水路のコントラストにあります。
なかでも園内中央に位置する沢の池には、茶屋に太鼓橋が架けられた中の島など、大小の島が浮かび、池泉回遊式庭園の優雅さを表しています。
池田綱政
後楽園を築いた備前岡山藩の第2代藩主・池田綱政は、名君として知られる池田光政の長男。藩主となったときは財政難を抱えており、津田永忠に命じて児島湾で大規模な干拓事業を行ない、さらに百間川や倉安川の治水工事を実施し、新田開発などの農業政策に力を入れました。財政再建に成功した綱政は、池田家の菩提寺となる曹源寺を創建。後楽園を造園、備前吉備津宮(現在の吉備津彦神社)を造営し、後世に名を残しました。
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後楽園と名づけられたのは、明治になってから!
張られた芝は、1771(明和8)年、藩が財政難に見舞われた際に、5代藩主・池田治政(いけだはるまさ)が経費節減のために芝生を植えさせたもの。この頃に、現在の後楽園に似た環境が生まれたのだと推測できます。
明治になって第10代(最後の)藩主で、藩知事となった池田章政(いけだあきまさ)が宋(中国)の范仲淹(989年〜1052年)が著した『岳陽楼記』にある「先憂後楽」(「先天下之憂而憂、後天下之楽而楽」=「天下の人々が憂えるのに先立って憂い、天下の人の楽しんだ後から楽しむ」)からとって「後楽園」と名付けました。
昭和9年の室戸台風による水害、第二次世界大戦などで一時は荒れた後楽園も、昭和42年までにすべての建物が復元され、「日本三名園」として君臨するに十分な気品も取り戻したのです。
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豊富なイベントも見逃せません!
詳しい日時は岡山後楽園の公式ホームページを参照してください。
1月〜2月=タンチョウの園内散歩
2月3日=芝焼き
4月下旬〜5月中旬=夜間特別開園『幻想庭園』
5月下旬=『茶つみ祭』
6月中旬=『お田植え祭』
8月=夜間特別開園『幻想庭園』
10月下旬〜11月中旬=『岡山県後楽園菊花大会』
11月下旬(紅葉シーズン)=夜間特別開園『幻想庭園』
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岡山後楽園 | |
名称 | 岡山後楽園/おかやまこうらくえん |
所在地 | 岡山県岡山市北区後楽園1-5 |
関連HP | 岡山後楽園公式ホームページ |
電車・バスで | JR岡山駅から岡山電気軌道(路面電車)東山線で5分、城下駅下車、徒歩10分 |
ドライブで | 山陽自動車道岡山ICから約8.5km |
駐車場 | 後楽園専用駐車場(250台/有料) |
問い合わせ | 岡山後楽園 TEL:086-272-1148/FAX:086-272-1147 |
掲載の内容は取材時のものです、最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
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